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マーケティングとブランディングは何がどのように違うか

配信日:2011年

今回もちょっとした基礎講座的なものを紹介しようと思います。
マーケティングもブランディングもみなさんには馴染みのある言葉ですが、その内容や違いは意外と知られていないかもしれませんね。

実は「マーケティング」という言葉は、かなり昔から「一体何を意味するのか」という漠然とした不明確さを含んだまま、この50年間、なんとなく使ってきた感があります。そもそもMarket(市場)という名詞にing(すること)をくっつけた曖昧な造語がニュアンス的には伝わっても厳密にはわかりにくい根本原因なのです。これはブランディング(Branding)でも同じことですね。

年代にもよりますが、人によってはマーケティングとは「広告」「市場調査」という人もいます。みなさんは如何でしょうか?

「マーケティング」という言葉がある一方で「広告」という言葉が別に存在しているということは、それぞれが似ていても別のものだからにほかなりません。そうでなければいちいち別の言葉を作る必要はないのです。同じく「マーケティング」と「ブランディング」も別のものです。

私の理解では、ブランディングとマーケティングは「写真と動画」のような関係にあります。何枚かの写真をペラペラ漫画のように組み合わせると動画になります。日頃のマーケティング活動が動画的に描き出されるものだとすれば、ブランディングはその一瞬一瞬の活動をパシャッと一枚の写真に撮ったようなものです。つまりブランディングの積み重ねがマーケティングを決定づけているのです。

ブランディングは「スタティクス(静的)な状態を決定するための戦略思考」、一方、マーケティングは「ダイナミクス(動的)な行動を決定するための戦略思考」と言ってもよいと思います。よってブランディングはマーケティングの足元であり、マーケティングの方向性を決めるものと言えます。一方、ブランディングだけ行なっても世の中でのパフォーマンスは高まりません。マーケティングによってブランドを動きのあるものにするわけです。ブランディングでは、次の内容を含むことになります。

1. 機能的価値と情緒的価値を顧客ニーズに照らしてポジショニングにまとめる「ブランド価値」の設計
2. ネーミング、ブランド・ロゴ、価格、パッケージ(必ずしも製品の顔を意味しない)を使った「ブランド要素」の設計
3. HP、ブログ、名刺、カタログ、広告、営業マンの言動、店舗イメージ、接客態度など顧客にどのようなブランド・イメージを持ってもらうかを左右する「ブランド体験」の設計

状態を決定するのがブランディングの主な役割なので「設計」という言葉を強調して使いました。一方でマーケティングは次のような内容を含みます。

1. 環境分析と適応。インサイトに基づく潜在ニーズの探索、社会環境、ウェブ環境、競争環境、流通環境への対応
2. 製品、価格、コミュニケーション、チャネル(4P)の決定と実施。およびPDCAサイクルの管理
3. 特に中心的なテーマは集客戦略と顧客満足戦略。これらの企画と実施
4. 顧客満足戦略では顧客との関係性改善またはロイヤルティの管理
5. ブランドのポートフォリオ管理。ブラッシュアップ、改廃の検討と実施
6. その他

最後に「その他」としたのはマーケティングの領域は広く、また時代によって変化するからです。まさしくダイナミズムがマーケティングの真骨頂でして、上記の言葉を見ても「実施」「管理」「対応」などの動的なものが目立ちます。

いまやブランド構築を前提としないマーケティングは無意味です。つまりマーケティングを行う目的は顧客に価値を提供すると同時に、その価値を高める(ブランド構築を遂行する)ことにあると思います。

マーケティングとは顧客に価値を提供する様々な活動であり、ブランディングとはその価値を「より良い価値」として顧客に感じてもらうことにほかなりません。

このような関係性をちゃんと理解しないまま、多くの企業はブランドの行く末についてマーケティングの是非を語っています。つまり、ブランディング的発想が欠落したままマーケティングをなんとかしようと考えるのです。これは一枚一枚の写真に汚い風景しか写っていないのに、ペラペラ漫画にした時に美しい映像を期待するのと同じことです。ブランドの不振を挽回するためにマーケティングの梃入れを考えるのですが、そもそもブランディング的発想が欠落しているので、どのようなマーケティング・プログラムもブランドの育成(再生)に寄与しないまま終わります。

ちなみに「マネジメント」という言葉もあります。マーケティングとマネジメントはどういう関係にあるのか?

マネジメントはマーケティングが上手くいくために社内リソースを動かすことを言います。「商売(マーケティング)が上手くいくために経営(マネジメント)は必要なのだ」といえば、もっと理解しやすいかもしれませんね。つまり「ブランド価値を高めるマーケティングを企画・実行するためにマネジメントは必要なのだ」といえます。ごく簡単に言うとこうなりますが、如何でしょうか?

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