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「良い商品」と「売れる商品」

配信日:2011年

『八天堂店主森光でございます。
今から20年前。広島の三原港町にて小さなパン屋を開業させました。お店に並べたお品は100種類。「繁盛店に必要なのは品揃えだ」それだけを信じて作り続け、気がつけば1万種類。

しかし・・・作れども作れども、売上が上がらず、私は、いつしか「良い商品」ではなく「売れる商品」を作ろうとしている矛盾に気づきました。

八天堂にしか作れない「良い商品」はできないだろうか・・・?

悶々と悩む中で、2007年1月。
100種類にまで広げたパンを1種類に絞り、「専門店」として生まれ変わる業態転換を決意します。

「一品だけでどうやって営業するの?」

当時、多くの方々から猛反対。しかし覚悟を決めて、極限の孤独と戦いながらの挑戦の日々が始まりました。商品はくりーむぱんに絞りました』(八天堂物語~くりーむぱんの誕生秘話~)

100種類のパンを1種類に絞り込む。
まるでブランディングの基本を忠実に再現したような戦略です。そしてそれは功を奏し、わずか4年にして、八天堂は全国に店舗を展開するほど成功しています。

しかしこの文章のなかで私が惹かれたのは「いつしか良い商品ではなく売れる商品を作ろうとしている矛盾に気づきました」という部分です。

これは私たちが誰でも陥る落とし穴ではなかと思います。特に頑張れば頑張るほど、この落とし穴に落ちやすい。

では良い商品とは何か?

カーエレクトロニクス製品を作るクライアントさんでのこと。
このクライアントさんは中長期のブランド・ディレクションを決めるにあたって「自分たちのマーケティングの癖」をあぶりだすセッションを行いました。

そこでは次のような結論が出てきました。

『世界初を生み出すメンタリティ。自由、情熱、コンセプト指向の商品開発。単なる開発業務としてではなく、夢と情熱を持って企画されたコンセプトを貫く覚悟をした時に素晴らしいヒット商品が生まれている。逆に品質・コスト・期日に追われ、「いついつまでに発売しなければならない前提」を持って取り組む場合、開発段階でいくつかの妥協が入り込む傾向が強い。知らぬうちにコンセプトから乖離した商品になる。企画内容よりも品質・コスト・期日が優先された商品は、どんなに世界初の企画であっても、無残な結果に終わっている』

きっと良い商品とは、コストや期日を気にするよりも、夢や情熱を持って顧客に尽すためだけに開発された商品に違いありません。これは八天堂のくりーむぱんにも通じるものがありそうです。

夢や情熱を持って顧客に尽くす商品には「ちょっとしたWOWが盛りだくさん」だったり「こころを動かす何か」があるものです。きっと単なる便利さや欲望だけでは世の中を大きく動かすことは出来ないのでしょう。

そしてそのような良い商品こそ、結果的に売れる商品になる可能性が高い。
これは非常に基本的な開発スタンスであると同時に、非常に忘れられやすいテーマでもあります。テクニックよりも大切な何かが必要なのです。

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