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プロジェクト・マネジメントの反省と学び

配信日:2011年

思い出してみるとコンサルを始めた頃は、随分、歯がゆい思いをしました。特にプロジェクトで何の成果も出せなかったというケースです。

もう8年近く前の話です。そのクライアントさんではブランドの立て直しが課題でした。昔からある老舗のラグジュアリー・ブランドだったのですが、外資系ブランドに押されてイメージが古臭くなっていました。そこでイメージの一新を図るために私が呼ばれたのです。

プロジェクト・メンバーは14人ほどいました。そこで戦略を作りアクションプランを組み立てるのです。毎回、白熱した議論をしたのを覚えています。

しかしそのうち気になることが起きはじめました。私が「こうしたらいい」と提案し「そうします」とメンバーは言いながら、実は何もやらないケースが多いのです。「確かにメンバーの方々はみなさん忙しいし仕方ない」と思いながらも、これではプロジェクトは進みません。

プロジェクトを立ち上げたトップ自身も怪訝そうに見守りますから、報告をしても大抵は宿題を多くもらうことがほとんどでした。

そのようなことを繰り返しているうちにメンバーの士気も落ちていきました。やがてプロジェクトは予定の期間を終わり、私は抜け、プロジェクト自体はメンバーで引き続き検討をすることになりました。

その後の様子を聞いてみると、その事業は結局、大きくシェアを落とした上に現在ではほぼ撤退の状態になっているとのこと。私は自責の念に駆られました。

そもそも何故、メンバーは「そうします」と言って何もしないことが多かったのか?

当時の私の経験不足とプロジェクト・マネジメントの甘さがあったことは間違いありません。「外部アドバイザーの限界」をひしひしと感じました。同時にこれは私の今のコンサルティング・スタイルを作り上げる貴重な体験にもなりました。

私自身がブランド・マネージャーとして企業で働いていた時は感じることのなかった限界感です。企業のなかでのブランド・マネージャーはそれなりの発言力を持っています。そして業務として社内に働きかけることが出来ます。しかし外部アドバイザーではそうはいきません。そもそも「どうしたら良いのか?」と聞かれて答えているにもかかわらず、メンバーは必ずしもそれに従うというわけではないのです。これは当たり前のことのように感じますが、外部のコンサルタントにとっては仕事が進まない大きな原因の一つです。

最近では「どうしたら良いか」との質問に「こうしたら良い」と答えることは非常に少なくなりました。その代わりに「どうしたら良いと考えていますか?」と逆質問をすることが多くなりました。

「どうせやらないのだから答えるだけ無駄」ということではなく、結局、「どうしたら良いか」と聞く時、何か特別な回答を求めているのではなく「自分の持っている回答(仮説)の是非を問いたい」のだと気づいたのです。

その回答に対して「こうしたほうがより良い」「ここはもう少し考えたほうがよい」とアドバイスするほうが、実は仕事が前に進むのです。もちろんまるっきり見当違いの回答であればそうもいきませんが、そのようなことは稀です。そして自分自身の回答へのアドバイスに対してクライアントさんは自発的に仕事を前進させます。きっと納得度が高いのでしょう。これは今でもチーム・ファシリテーションの手法として私のコンサルティングのなかで生きています。

次に、その後のシェアを落とし撤退寸前になってしまったことに関しても考える事は多いのです。一つはプロジェクトの契約期間が終わってしまったことですが、残念なのは「仕留める前にプロジェクトが終わることがある」ということです。これも私の無力からの結果です。

一方、メンバーのなかにも「プロジェクトだから頑張る」という発想が無意識のうちにありました。事実、プロジェクトが終わってメンバーが自発的に継続することになった時点で気持ちがパーッと離れていったのではないかと思います。特に報告のたびにトップから報告の3倍もの宿題をもらうような状況では、そうなるのも人情というものかもしれません。

大事なことはプロジェクトのなかにトップも含めてしまうことです。トップに定期的に報告するのみでは、トップはトップの仕事としてチームに宿題を出すのです。しかし日頃から不定期にでもトップが参画してプロジェクトの行く末を見ていると、実はこれほど心強いサポーターは他にいないと気づきます。

ましてやトップ自身が本気で「売上を上げたい」とか「ブランドを立て直したい」と考えているなら、それはチーム内に伝わるものなのです。(このトップを巻き込むことも私のコンサルティングでは重要な課題としてセッションに取り込まれています。)

プロジェクトを上手くマネジメントするのは難しいですが、トップの存在の如何によってメンバーは大いに化ける可能性を持っています。そのように仕向けるのがプロジェクト・マネジメントの手腕と思われます。

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