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ブランディングはマーケティングのあり方を規定する

配信日:2011年

私のところに相談に来てくれるのは「ブランドのコンサルティングなど必要ない」と思われるような立派な大企業ばかりです。しかしそのような企業こそ、まさにブランディングでの問題を多く抱えています。主に2つのタイプがあります。

1つ目のタイプは、マーケティングは上手(モノを売ることは上手)なのに、ブランディングが下手な会社です。オーナー社長の実力で伸びている新興企業や、大手商社はその典型かもしれません。ブランディングが下手な企業は往々にして「ブランドを梃子にしたビジネス」の可能性に懐疑的だといえます。意外かもしれませんが、そんな旧態依然とした会社はまだまだたくさんあります。ブランドがあればもっと効率的に販売が出来るのに、従来からのやり方にこだわっているのです。しかしその結果、お家芸だったマーケティングの神通力も衰えてきています。もったいないと思います。

気づいていて、現状を変えたいと考える企業はまだ良い方でしょう。しかし、多くは自前主義でなんとかしようとするもので、たいていは10年経っても何も変わりません。それもまた一つの選択です。

2つ目のタイプは、立派なブランドはあるのにその価値を充分に享受できないという企業です。いわゆるマーケティングが下手な会社です。マーケティング下手というと、これまでプロダクト志向の強い会社、または技術志向の強い会社と思われていましたが、最近ではブランド・カンパニー、マーケティング・カンパニーとして名をなした会社が「マーケティング下手」になってきたように思います。

過去に作られたブランド資産を上手くビジネスに活かせないのです。原因の多くはマーケティングが内向き、発想がつまらない、スピードが遅い、または過去の成功体験の呪縛や、出来ない理由ばかり挙げる体質にあるようです。「立派なブランド・カンパニーなのになんでこんなに役所のような雰囲気なわけ?」そのような会社のブランドは長い目で見て沈んでいくようです。

またこのような会社の多くはブランドから搾り取ることばかり考え、ブランドを育てるという発想を持つことが少ないのも特徴です。それがブランドの沈下を加速させます。

そもそも、ブランディングとは一体なにか?
最近ではブランディングという言葉は、マーケターはもとより一般のビジネスマンにも広く使われるようになりましたが、その理解と解釈は「人の数だけ存在する」ようです。

色々な定義がありますが、これら2つのタイプの企業で必要な定義は「ブランディングとはマーケティングのあり方を規定するもの」というものです。ブランディングとマーケティングは実に「写真と動画」のような関係にあります。日頃のマーケティング活動が動画的に描き出されるものだとすれば、ブランディングはその一瞬一瞬の活動をパシャッと一枚の写真に撮ったようなものです。何枚かの写真をペラペラ漫画のように組み合わせると動画になります。つまりブランディングの積み重ねがマーケティングを決定づけているのです。

このような関係性をちゃんと理解しないまま、多くの企業はブランドの行く末についてマーケティングの是非を語っています。つまり、ブランディング的発想が欠落したままマーケティングをなんとかしようと考えるのです。これは一枚一枚の写真に汚い風景しか写っていないのに、ペラペラ漫画にした時に美しい映像を期待するのと同じことです。ブランドの不振を挽回するためにマーケティングの梃入れを考えるのですが、そもそもブランディング的発想が欠落しているので、どのようなマーケティング・プログラムもブランドの育成(再生)に寄与しないまま終わります。

実際、ブランディングの基本的な考え方を理解しない経営陣は多くいます。そのような経営陣にとってブランドとはネーミングやマークのことでしかなく、ブランド価値を高めてマーケティングの効率を引き上げるという発想には及びません。経営陣は口では「ブランドが大事だ」と言いますが、実際にその効用を実感している人は少ないのです。なぜならばその経営者自身が入社した時からそのブランドは存在していて、そのブランドがもたらす利益や優位性についてはこれまで意識することはほとんどなかったからです。

「一度、会社を辞めて自分でビジネスを始めてみると、かつての会社(ブランド)の有り難さに気づくことが多い」というのはそういう意味です。特に現代はモノがどんどん売れなくなっています。営業マンの頑張りも限界に来ています。そうした中で自分の足元にあるブランド価値をもう一度、梃子に出来るかどうかが問われています。

ブランド価値を高めるマーケティングとは?
つまり、このような発想を持つ必要があるのです。現代のような成熟市場において、消費者は製品の機能性や価格よりも先に「ブランド」を見て購買するかどうかを検討します。いまやブランディングを前提としないマーケティングは無意味です。

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