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「巻き込むコミュニケーション」の構造

配信日:2011年

「菅おろし」は留まるところを知らず、テレビを付けてはそんな話ばかりで直ぐにチャンネルを替えてしまうのが日常になりました。お笑い芸人のクイズ番組やグルメ番組も好きではなく、最近はNHKが好きです。みなさんはいかがですか?

そこまで降ろしたいなら、そもそもこの前の内閣不信任案の時に可決すれば良かっただけの話で、一体、何をやっているのかと世間は思っているに違いありません。ウソを付いたつかないの成り行きはあるにせよ、一端は信じたわけで「否決に投票した側にも責任の半分はある」と私は思っています。降ろすな降ろせを延々とやっている様を見ると、日本はまだ余裕があるのかもと錯覚すらしそうです。

もう政治が被災者や国民のことを考えていないのは明らかで、マーケティング的にはこれを「消費者不在」と呼びます。自社の利益にしか興味のないダメ企業とまったく同じ。そもそも菅氏の後釜に誰を総理にするかなど、「消費者不在」の典型で、このようなリーダーの決め方を国民は誰も望んでいないに違いありません。

一方で「求心力」について考えさせられる問題でもあります。国民からの求心力、企業内でのトップに対する求心力。あるいは得意先に対する求心力も含まれます。

経営コンサルタントの佐々木繁範さんによると、求心力を高めるコミュニケーションには必ず3つの要素があるといいます。

古代ギリシャ時代にアリストテレスによって提唱された考え方で「ロゴス(論理)」「エトス(情緒)」「パトス(パーソナリティ)」の3つがそれです。つまり「論理的に話せ。感情に訴求するように話せ。良い人柄が伝わるように話せ」ということ。これが人を巻き込む(求心力を高める)コミュニケーションの要素です。

興味深いのはロゴスだけではダメなのです。内容は伝わるけれど人は共鳴・共感しない。例えば原発の記者会見や内閣官房長官の発言などを見ているとよく分かります。事実だけを淡々と述べるのは論理的だけれども求心力はない。

またエトスだけでもダメ。例えば外資系企業で(あるいは最近の大手日本企業で)外国人の上司や部下と話す時に日本人的なコンセンサスを前提に話すと必ず話がややこしくなります。論理と数字は万国共通と言われるのはそのためで、情緒や感情というものはコンテンツを伝える機能が弱いのです。

さらにパトスも大事です。どんなに論理的で感情に訴えかける話が出来ても、その人物が好ましくないものであれば、人はやはり信じたがりません。胡散臭い人物の言うことは何を言われても信じがたいものです。

要するにこの3つの要素は三位一体であり掛け算なのだと理解できます。ロゴスとエトスが100点でもパトスが0点なら結果は0点。巻き込むコミュニケーションとは足し算ではなく掛け算そのものです。また対人コミュニケーションという状況の中で、セルフ・ブランディングにも応用できるフレームワークです。

ブランド・マネージャーの仕事をしていると社内でプレゼンテーションをすることが多いのですが、それはまさしく社内を巻き込むプロセスにほかなりません。成功するプレゼンには必ずこの3つの要素が影響しています。大抵は戦略の話が多いのですが、現状分析から課題抽出、目標と基本戦略、アクションプランという一連の論理的流れがある中で、「いかにしたら業界がひっくり返るようなことが起こるか」という感情面で聞き手を惹きつけるストーリーが展開されます。そしてそのような話に社内が乗りたくなるように、日頃から言行一致をこころがけ、リーダーシップを確立するように振舞うのがブランド・マネージャーとしての人格磨きです。

このような視点で政府の発表などを見ていると、実は巻き込むコミュニケーションの反面教師として学ぶ点が多いのも事実です。これはこれでありがたいですね。

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