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サラリーマンをやっていると、どうしようもなくツラい時がある

配信日:2011年

昨日、日頃から懇意にして頂いている仕事仲間で食事をしました。
一人は広告代理店の経営者のIさん、一人はコンサルタントのOさん、もう一人は独立クリエイティブ・ディレクターのEさんです。こうやって書くと分かる人もいるかもしれませんね(笑)。とても親しい人たちなのでワインを買って私の自宅で「家飲み」です。Iさんが2006年のバローロ・バルバレスコを買ってきました。なかなか良い趣味だなと感心しました。

全員が独立経営者だということもあるため、話は「人の縁」とか「タイミング」とか「物事が好転していく仕組み」などになりました。独立してみると分かりますが、ビジネスとは必ずしも戦略や能力で成功するわけではないことを、皆さん、体験を通じてよく知っています。

Eさんが独立する頃の話をしてくださいました。独立のきっかけは奥様が癌だと告知されたこと。当時、Eさんは大手広告代理店のクリエイティブ・ディレクター。接待ゴルフに出かけている先で連絡を受けました。目の前が真っ暗になり血の気が引いたと聞きました。

「しかし悪いことが起きる時というのは、実はすべてが好転していく始まりでもあるんですよ。最悪の時が実は最高の始発点になる」とEさんは続けます。

Eさんは会社を辞める決意をしました。奥様の治療がその目的です。しかしそれとは別に、Eさん自身の中にも、当時の会社生活がどうしようもなくつまらないものになっていたという感覚がありました。

「コピーライターとして働いて、クリエイティブ・ディレクターとして成果が出るようになると、どんどんマネジメントの仕事が増えました。仕事は多忙を極め年間に14本もテレビCMを作ることもあったのに、全然面白くないんですよ。なにかが違う。上司からは、このままいけば経営陣の一角に入れると言われたのに、何故か全然嬉しくない。嬉しくないどころか、それは自分のやりたい事とは全然違うじゃないかと思えてならない。」

きっとEさんは管理者としてよりもクリエーターとしての生き方が本望だったのだと思いました。

「朝、出勤する時に地下鉄から地上に出るんですが、そこで会社のビルが目に入ります。それを見上げる時、自分自身に気合を入れないと入り口に入れないんです。」

そんな辛い頃の冬、Eさんはよく仕事帰りに大倉山に登って、そこにある胴回りほどの樹に抱きついて自分を癒していたと聞きました。「冬なのに樹って抱きつくと温かいんですよ。」

奥様の癌が見つかったのはその頃です。「しかし収入の問題もありました。どうやって食べていけばいいのか?しばらく考えましたが、またコピーライターとして1本3万円くらいの仕事を月に10本やればなんとかなるじゃないか、それくらいの仕事なら必ずある、と考えたら吹っ切れました。」

現在、Eさんはご自身の会社でちゃんと成功しています。「独立当初は不安がないわけではなかった。でも幸せでした。妻の病気が治ってから大倉山を散歩したんです。ものすごい幸福感を感じました。もう爪の先まで100%幸せを感じました。」

「妻の癌という最悪の事態は僕にとっては転換点だった。多分、人間はそういう状況にあって、もうこのままの生活では駄目だ、自分を変えようと考えれば、すべてが好転していくきかっけになるのではいかと思う。」

サラリーマンをやっていると、どうしようもなくツライ時があります。そして、そんな時は仕事でも家庭でも大変なことが次々と起こるかもしれません。しかしそれは「今の方向じゃないよ」と言われている時かもしれないのです。

そのように考えると「悪いこと」というのは自分がそう言うから「悪い」のであって、本当は未来に向かって脱皮する「福音」なのかもしれません。

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