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何を当たり前と思うかで品質が決まる

配信日:2011年

先日、あるクライアントさんで経営陣に対してプロジェクトの第一回進捗報告をしました。9ヶ月の新ブランド開発プロジェクトで、最初の3ヶ月が終わったので現状を報告することにしたのです。報告会ではプロジェクトに参加しているメンバー12人も一緒に参加してもらいました。

プロジェクトでは2つのチームに分かれてそれぞれがブランド・コンセプト立案から製品開発、市場導入までを行います。何故2つに分けるかというと、一種の「社内コンペ」をさせるためです。お互いに切磋琢磨することでお互いを高めあい、最終的には2つの素晴らしい新ブランドを仕込むというのが私の狙いです。(当初の目的は1つのブランドを立ち上げることにありますが。)

報告会では経営陣から非常に高い評価を得られました。「これまでの自社の常識に囚われない開発を進めてください。それぞれが意志をもって取り組むように。これからも楽しみにしています。」

しかし興味深いのは、そのような言葉を頂いてチームメンバーのなかに2つの全く別な反応があったことです。一つは前向きな反応です。「経営陣は応援してくれている。それにもっと応えよう」というもの。健全な反応といえます。

もう一つはその真逆。「えー、すごいプレッシャーだ。どうしよう」というもの。やる気がないわけではなく、経営からの期待を純粋に負担に感じる人達です。

こんな時、みなさんならどう思いますか?

これは私たちの仕事のなかでも、またセルフ・ブランディングでも常に問われることです。上司やお客さんからの期待(高いニーズ)に応えることに前向きになれるか、逆に「そこまでしなくてもいいんじゃないか」と自分に甘くなるか。

サラリーマン時代に付き合ってきた部下や外部クリエーターの人たちにも同じことが言えました。また私自身も常に上司や顧客からそのように挑戦を受けていたと思います。

例えば、特に優秀な広告クリエーターの方々を見ていて思ったのは、彼らは「量をこなす」ことを厭わなかったことです。たった一つのコピーを作り出すのに何百もアイディアを出し、しかも大抵は2日とか3日とかの非常に短時間のなかで集中的にアウトプットして、そしてプレゼンに臨んでくれるわけです。

彼らが仕事だからそうしたのかと考えると、必ずしもそうではなかったように思います。仕事以前に「それがごく当たり前の仕事のやり方だから」そうしていたように思うのです。きっと先程のクライアントさんの件でも、「経営陣からの期待とは高いものだ」ということが常識になっている人は前向きの反応をしたように思います。一方でそうじゃない人は、そもそもプロジェクトを楽しんでいないのかもしれません。

興味深いのは「仕事とは量をこなせばこなすほど質が高まる」という質量の法則なるものがあることです。事実、トップレベルのクリエーターは層の厚みからしか生まれません。仕事の質を向上させたいと思ったら、まずは量をこなすのが良い。そうするとそれが習慣になり(自分にとっての常識になり)、高品質の仕事がアウトプットされるようになるわけです。

よくテレビなどで女優さんが「キレイの秘訣はなんですか?」とか「何かキレイを保つためにやっていることはなんですか?」とか聞かれて「特別なことはなにもしていません」と答えますね。見ている人は「嘘でしょ」と思うのですが、きっと特別なことは本当に何もしていないと思います。

厳密に言うならば「その女優さんにとって特別なことは何もしていない」ということです。本当はこの人は色々やっているのですが、自分にとっては特別なことではないからこのように答えるのです。毎日、ピラティスをやるのもヨガをやるのも、食事を取り過ぎないことも、十分な睡眠を取ることも、「その女優さんにとっては」特別なことではないに違いありません。それは我々一般人にとっては特別なことかもしれませんが、その人にとっては「ごく当たり前のこと」なのでしょう。

我々の仕事やセルフ・ブランディングも同じで、何を当たり前に思うかで品質そのものが決まるように思います。

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