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「好き」の反対は「嫌い」ではない

配信日:2012年2月4日

「ステマと消費者のメディアリテラシー

ステルス・マーケティング(ステマ)は、いまやメジャーな言葉になった感があります。ステルス(Stealth)とは「こっそりと」という意味で、消費者が企業の売り込みと気づかないように宣伝を行なうことを意味します。ステルスの語源がSteal(盗む)であることから、ニュアンスとしては好ましくない行為と考えて良いのではないかと思います。

典型的なステマとして、かつては単純なサクラ行為を意味していました。しかしウェブ環境での書き込みやその匿名性、ブログマーケターの存在や有名人ブログでの問題発覚、ステルス業者の存在など、随分、ステルス行為そのものも進化したように思います。食べログの件はみなさんもご存知ですね。

似て非なるものとして口コミマーケティングや戦略PRがあります。これらは「事実を伝える」という点でステマとは一線を画すと考えています。

ステマの事例として、ある韓流スターの成田でのファン集客は有名ですね。「芸能人のサクラをしませんか」などのバイト募集をして、100人程度のサクラを成田空港に集めました。そしてそれを「800人のファンが押しかけた」と流す。これなどは実際のファンでない人を集めた時点で典型的なステマなのです。

戦略PRならこうはしません。
どうなるかというと、例えば「今、ソウルで注目される最新韓流スター情報」という情報のまとめ方をして「そのなかの注目株スターが何月何日に来日する」という事実を伝えます。バイトを集めるのではなく、韓流ファンが本当に成田に押しかけたくなる情報を流すのです。これは消費者にとって関心を持ってもらえるよう事実情報の編集をする作業であって、サクラを雇って記事を書くのとは全く別の話です。

既にアメリカではステルス・マーケティングは違法とされています。商品やサービスの推薦者と広告主の関係の有無、および金銭授受の有無などを開示しないものは違法とされます。

またアメリカ口コミマーケティング協会(WOMMA)では、もしそのような広告目的の意図的な口コミをウェブなどでする場合はハッシュタグの後にsponやpaid、またはsampleなどの言葉を入れるよう推奨しています。日本でも雑誌や新聞などで記事を装った広告(アドバトリアル)を行なう場合、しっかりと「広告」の文字を入れる感覚に近いですね。

詳しくは書きませんが、イギリスなどでも既に違法とされています。

では日本はどうかというと、2011年に消費者庁が「景表法上の不当に当たる可能性がある」と発表しています。「可能性がある」というのがやや微妙ですね。

アメリカやイギリスのように違法としつつも問題はまだ残りそうです。そもそも「やらせ」というのは発覚しないと措置できないという根本的な問題があります。発覚しなければステルスは文字通り忍び寄って売り込むわけです。

更に突っ込んで考えるなら「そもそも広告とはどこからどこまでを言うのか」という問題にまで発展してしまいそうです。何を広告行為と定義付けるのか?

もっと突っ込んで考えてしまうと「消費者はステマの被害者だ」という論調がある一方で、別の消費者が金銭をもらって書いているという問題もあります(消費者の定義)。消費者が被害者だと思いながら、別の消費者が加害者になっているケースですね。

私の考えでは、最終的には個人が見る目を養うしかないのかなぁと思います。消費者のメディア・リテラシーを高めるということですね。

これには2つの側面があって、まずは「何がステルスなのかを感じ取るセンスを養うこと」。
例えばヤフオクには取引のトラブルを避けるために「買い手自身も知恵をつけなさい」という目的の「ヤフオク護身術」なるサイトがあります。消費者庁や消費者団体には非常に参考になる消費者啓蒙のプログラムではないでしょうか?

もう一つの側面は「自分はステルスに加担しない」と決めること。例えばステルスの仕事を請け負わない、または先程のアメリカの事例のようにそのような広告行為であると伝えること。あるいは不用意にネット上で流れてきた情報を転送しないこと。悪気のない消費者でも、ついやってしまうのがこれではないでしょうか?

なによりもウェブ環境では「企業も消費者も情報発信者としての自覚を持つこと」が大事と思われます。これは私自身に対する自戒でもあるのです。

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