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良い悪い、高い安いはどのように決まるか

配信日:2012年3月5日

良い悪い、高い安いはどのように決まるか?

LCCという言葉を皆さん御存知かと思います。最近ではほぼ毎日何らかの形で見聞きするようになりました。「ローコスト・キャリア」の略で日本語では格安航空会社のことですね。世界的にはすでに定着している航空会社の形態で、ようやく日本でも本格的にスタートします。

特に最近は全日空系のピーチが就航したために話題が大きいようですが、元々はエアアジア(マレーシア)やジェットスター(オーストラリア)といったグローバル・ブランドが強い業界です。

みなさんはLCCに乗ったことがありますか?
私はその昔、イージージェットというイギリス系の格安航空会社を使ったことがあります。確かマルセイユからエジプトに向かう路線でした。

乗ってみると、「狭い」「窮屈」「有料サービス(飲み物など)」については聞いていた程でもなく「これでフランスから1万円でエジプトまで飛べるのなら問題ないのでは」と思いました。

まさしくバス旅行感覚で空を飛んだ感じでした。(ちなみにアメリカのLCCでスカイトレインというブランドがあります。文字通り「空の電車」ですね)

マーケティングで「サービスの良し悪し」や「価格の高い安い」について、一番大切なのは「何と比べてか」ということです。

単純に、イージージェットは私の中では「それまで使っているANAやJALと比べて」問題ないという感覚でした。しかしこれが同じLCCと比べたら単純に「高い」と思ったかもしれません。

その点で現在の日本ではLCCは「JAL、ANAに比べて安いけどサービスに問題があるのではないか」と思われているようです。ニュースに出てくるピーチ利用者の声を見ていればわかります。「思ったほど窮屈じゃなかったです(JAL、ANAと比べて)」

以前、ネスレでミネラルウォーターのマーケティングをやっていた時のこと。
当時、部下であるプロダクト・マネージャーが言っていました。「日本は東南アジアやヨーロッパに比べて水道水がきれいでおいしいから、水にお金を払おうという消費者はそんなにいないのです。水にお金を払うという文化がない」

確かにごもっともな話なのですが、よくデータを見てみるとミネラルウォーターの市場は毎年20%の勢いで伸びていました。「これはどうしてなの?」と聞くと黙ってしまいました。

要するに日本の水文化を語っているうちに、同じ文化でボルビックやエビアンといった競合ブランドがどんどんシェアを伸ばしていたわけです。

しかしこの話も「何と比べるか」に通じます。
水道水と比べたら、確かにミネラルウォーターは高い。しかし他の清涼飲料と比べたら高くはなく、むしろ「水」であることが個性になります。これがボルビックやエビアンが伸びた理由です。

一度、自分のブランドは「何と比べられているか」を考えてみるのは良いかもしれません。これをフレーム・オブ・リファレンスといいます。直訳すると「参考・参照のフレーム」なのですが、要は何と比べるか(何を参考にしてその製品を評価するか)です。

別の言葉では「ニーズの束」の概念と言ってもよいでしょう。消費者は自分のニーズを満たしてくれそうな製品の束を見ながら品質なり価格なりを評価します。

例えばコーヒーは必ずしもコーヒー・カテゴリー内でのみ比べられているのではないのです。「軽食」という切り口ではカップスープと比べられる可能性も高いし、カフェではビールが代替品になることも多い。その際、価格の高い安いも当然、変わってきますね。

家で飲むコーヒーと比べたらカフェのコーヒーは高いかもしれないけど、それで文句をいう人はあまりいない。そもそも自宅で飲むコーヒーと外で飲むコーヒーは別フレームだからです。

よってフレームは差別化戦略を考える出発点でもあります。「誰に対する差別化なのか」が問われます。

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