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こだわりを持つとは?

配信日:2012年6月7日

昨日の「第7回ブランドまつり」では参加者の方々にちょっとしたパーソナル・ブランディング講座を行いました。参加者の方々はさまざま。サラリーマンをされている方もいれば独立開業を考えていらっしゃる方や、既に独立されている方などいらっしゃいました。

いくつかの実例を交えながら個人がブランドを立てていく方法や考え方を紹介しました。その中の一つが、例えば「こだわりを持つ」ということです。

こだわりを持つ、などというと「そんなの当たり前じゃないか」と思うものですが、実際には抽象的で、具体的に理解しづらいと思います。その結果、こだわりを持つことが規範ではあっても実行しているひとは少ないのではないでしょうか?一方でこれの意味がわかると自分の仕事が劇的に変わり、ブランド価値が高まることまちがいなしです。

亡くなったスティーブ・ジョブズ氏はパソコンの表面を綺麗に仕上げる業者さんに「表面だけでなく裏(パソコンの内側)も磨き上げるように」と言いました。

「裏も磨く?」業者さんは意味がわかりません。だいたい裏など誰が見るというのか?パソコンを分解するならいざ知らず、一般の消費者でそのような機会は滅多にないし、第一、コストがかかるではないか、というわけです。「Who cares?」誰が気にするの?と尋ねました。数ドル高くなるなら、内側のデザインや仕上がりなどどうでもよいじゃないですか、と。

するとジョブズ氏はこう答えたといいます。「I do.」私が気にするんだ!と。

「最高のブランドは最高のものでなければならない。仮に消費者が裏など気にしなくても、仮に1000人のうち1人しか気にしなくても、その一人のために裏まで磨くのだ。そういうところにこそ消費者の期待を上回るチャンスがある」

これが「こだわりを持つ」ことのわかりやすい話だと思います。要は「手を抜かないこと」。それによってコストが数ドルかかろうと、そんなことは問題ではないと言っているようです。それよりも「この程度でよい」という発想からくる消費者の落胆のほうが怖い。消費者には売り手のそういう意識が見えるのですね。

いや、きっとジョブズ氏のことだから、本当に自分自身が裏まで気にするから「磨け」と言った可能性もあります(笑)。しかし「手を抜かない」ことは結果として同じです。

メーカーの研究所や生産本部などでは製造コスト削減が常にテーマとして取り上げられます。これは業種を問わず、年がら年中、しかも毎年、必ず取り組む「年間テーマ」になっています。考えてみたら、これは「こだわり」という点で自分たちのブランドの首を締める結果になっているのかもしれません。細部へのこだわりがどんどん捨てられる結果になるからです。

レストランでも流行っているところは細部に気を使うものです。例えばバーなどでカウンターの一部が食材置き場になっていたり酒のボトルが置かれていたりする店はあまり流行っていないものです。なぜなら消費者から店の接客レベルが丸見えになってしまうから。

「ちょっとぐらい食材が置いてあっても仕方ない」「ちょっとぐらいタバコの臭いがしても仕方がない」「ちょっとぐらいケーキ用のガラスケースにトマトやワインを入れいても仕方ない」「ちょっとぐらいテーブルや椅子がガタついても仕方がない」「ちょとぐらいほこりがたまっていても仕方がない」「ちょっとぐらい油臭い空気が流れていても仕方がない」「ちょっとぐらいトイレが汚れていても仕方がない」「ちょっとぐらいゴキブリがでても仕方がない」・・・。

こんな店は一度行けば十分で、次回は別の店を探すのではないでしょうか?

この「ちょっとぐらい」というのがどうやら曲者ですね。これが始まると、結局、企業も個人もこだわりを放棄することになるようです。「こだわり」とは「手を抜かない」ことであり「ちょっとぐらい」という枕詞を放棄することと思われます。

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