ドラえもんの絵描き歌から見えてくるもの

配信日:2013年1月23日

先週の土曜日、小学生の子供が事務所に来た時のことです。面白い遊びをしました。ホワイトボードを使ったゲームです。「お父さんが何かをイメージして、それを口で説明する。何をイメージしたかは言ってはだめ。それをわたしが想像しながらホワイトボードに描く」というゲーム。

私はとっさに「ドラえもんの絵描き歌」を思いつきました。さすが40代。もちろん、ルールどおりドラえもんとは言わず、「マル書いてちょん、マル書いてちょん、お豆に芽が出て、植木鉢・・・」と歌い始めました。最近の子はドラえもんの絵描き歌を知らないのですね。「なにそれ、なんの歌?」と子供も興味津々。ある一定の年齢以上の人しかわからないかもしれないので、その絵描き歌の結果を見せますね。


doraemon

通常だとこんな絵になります。ドラえもんです。これ、私が描いたものです。しかし娘の描いた絵はこんなふうになりました。

doraemon2

ちょっと笑えませんか?娘は当然、ドラえもん自体は知っています。しかし、ドラえもんの絵描き歌という情報が事前にないまま描くと、こうなるんですね。たしかに「マル書いてチョン」や、「6月6日にユーフォーが」の跡が見えます(6の中に円盤が描かれています)。意外とかわいい。ポケモンのキャラにいそうです。

なぜ、このようなまるで違うキャラが生まれてしまったのか?これは、ちょっとした示唆を含みます。「ゴールイメージを共有しないまま何かを作ろうとすると、まるでゴールとかけ離れたものが出来てしまう」ということです。もし「ドラえもん」というゴールを知っていたら、「マル」だの「ユーフォー」だの、「池」だの「月」だの、まるっきり文脈の違う情報に一本の筋が通ったことでしょう。それでも実際にドラえもんの絵を見ていなければ、やはりおかしなドラえもんになると思われます。

マーケティングでも同じですね。その目標や全体戦略をちゃんと理解しないまま、製品開発、広告、販促、店舗開発、営業活動などをやっても目標達成への貢献は低い。いわゆる作戦行動の一貫性を欠く状態になることでしょう。そして、その全体イメージを示すのがブランドです。「こういうブランドを作るのだ」という凝縮されたビジョンがあるから、それに向かってマーケティングプランを構築し実行できるわけです。ブランド・ビジョンが共有されているから、社内は同じゴールを目指せるのです。

経営トップや、事業責任者の社内コミュニケーションが大事なのは、こういうことだと思います。ある程度以上の組織になると、それぞれの部署でバラバラなことをやっていることも多いものです。それは、トップが「ドラえもんの絵だよ。こういう絵がゴールなんだよ」ということを言わずに(または言ったつもり、わかっているだろうという前提で)、それぞれの部署がよかれと思って、自分たちの想像の中で、「マル」だの「月」だの、描いている。子供のゲームとたいして違わないようです。結果、非効率になり結果も出ない。社内に徒労感が生まれます。組織としての求心力がなくなるプロセスです。

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