ある興味深い実験があります。

配信日:2013年10月29日

組織というのは時に人間以上の意思を持つように見えるものです。
勤め人をしていたころ、私にもそのように感じることがよくありました。特に転職をしたての時はそうです。たとえば通勤手当ですら、そうでした。

会社に行くのに2つのルートがありました。Aというルートでいくと、最安値で行けるけれど15分、余計に電車に乗らなければならない。Bというルー トだと電車賃が150円だけ余計にかかるけれど、通勤時間を短縮できて、その分、仕事を早く始められる。なにより通勤のストレスが減る・・・。

私はBルートで申請しました。すると人事からAルートでくるようにと言われました。「なぜですか?」「最安値のルートでくるのが社内規定です」「なぜそのような社内規定があるのですか?」「それがルールです」

それがルールです。それ以上の説明はできません。あなたはそれに従うしかない・・・。それこそ、組織が人間以上に意思を持った状態です。

ある興味深い実験があります。
5匹の猿を檻の中に入れます。檻の天井には1本のバナナがぶら下がっています。うまそうなバナナです。それを見た猿たちはバナナを取りに行きます。早い者勝ち。そして、バナナを取れなかった猿には・・・ホースで水をかけるようにしました。

早速、実験を開始しました。ある猿がバナナをゲット。すると監視員が他の4匹にその場で放水しました。逃げまとう猿たち。このバナナゲームを何度も繰り返すと、やがて猿たちはバナナに近づかなくなりました。バナナを取りに行くと放水されるからです。

そして実験はここから本格化します。5匹のうちの1匹を檻から出し、代わりに新参の猿を1匹、入れます。新参猿はバナナを見つけると、早速、取りに 行きました。しかし他の4匹は慌てて、新参猿を止めようとします。幸い、水をかけられることはありません。その代わりに新参猿は4匹からいじめられまし た。その猿は「バナナを取りに行くといじめられる」と知りました。

次に新参猿以外の猿をさらに1匹、外にだし、第二の新参猿を檻に入れます。第二の猿もバナナを取りに行きますが、他の4匹にいじめられました。なん と1匹目の新参猿も一緒になっていじめました。2匹目の新参猿もバナナを取りに行くといじめられると知りました。同じように古参の猿を1匹だし、第三の猿 を投入し、さらに古参の猿を1匹だして、第四の猿を投入し・・・結局、最初の5匹の猿はすべて入れ替わりました。

いまや、水をかけられた猿は檻にいません。そして、実験を続けました。うまそうなバナナはぶら下がっていますが、誰もバナナを取りに行きません。いじめられるからです。繰り返しますが、バナナを取れないと放水されることは、どの猿も体験していません。

おそらく、この猿たちに「なぜ、バナナを取りにいくといじめられるのか」と聞いても「ここではそれがルールだから」としか答えられないでしょう。

組織が意思を持ったように見える瞬間です。会社のなかの「なぜ、そうするのか(しないのか)」「それがルールだから」という会話に通じるものがあります。それは第三者の目から見ると、非合理的なものや、ばかげているものも含まれることでしょう。

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