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ブランド・ジーンとは何か?

配信日:2015年6月24日

先日、阪本啓一先生から「ブランドジーン」というコンセプトを聞きました。これはブランドに宿る「熱」のようなものです。元気なブランド、繁盛しているブランドには「驚き」や「喜び」を顧客に与え続けるという特徴があり、そこにはブランドのブランドたるジーン(遺伝子)が宿っているというわけです。

そして面白いのは、このジーンなるものは「棲み家を変える」こと。かつてソニーはジョブズも学ぶ元気な「かっこいいブランド」だった。しかしジーンはその後、アップルに棲み家を替え、いまやアップルからグーグルに棲み家を変えたとのこと。そのような話を聞くと、ブランドジーンとは「座敷童(わらし)」のようにも感じます。座敷童がいるうちはその家の商売は繁盛する。しかしその子が棲み家を変えると、その家は没落する・・・。

考えてみれば、そういうことは多いように思います。実際に創業経営者の多くは験(ゲン)を担ぐものだし、神仏に祈ることだって日常的にしているものです。おそらく経営学やマーケティングでこれまで扱ってこなかった「目に見えないもの」の存在を、阪本先生は「ブランドジーン」というコンセプトで可視化したのだと思いました。

さて、問題はどうしたらジーンが来てくれるのか、またはどうしたらジーンが棲み続けてくれるのかです。それについて先生の考えは「人間の力の及ぶところではない」でした。確かにそうかもしれません。しかし、私はこれまで外資という転職文化の世界でサラリーマンをしてきて思いました。

その世界でユニークなのは「確かにジーンを連れてきた」と思えるような人がいることです。そのような人の特徴は「クリエイティブに貪欲である」「変化を脅威と捉えず、機会と捉える」でした。これまでいろいろと頑張ってやってきたけどうまく行かなかった会社の過去を認め、積極的に変化すること(リスクを取ること)をやっている人です。

そのような人がブランド・マネージャーとして着任すると大変です。社内は当初、そのような発想と行動力のブラマネについていけず、多くの反発や抵抗を生みます。しかし「ジーンを持っているこのブラマネ」は、それにしぶとく食い下がりながら、しかし明るく元気に自らの仮説を実行していきます。空振りもしますが、たまにホームランを打ちます。結果としては、業績は良くなります。

そのようなジーン(ブラマネ)も、やがて会社やブランドが大きくなり、組織が人格を持って「管理」を始めるようになると、だんだん居ることが面白くなくなります。社内の管理、規則、レポート、作業、ルール、それにワクワク感のない新製品開発が増えます。一方、バカなことを考える時間、挑戦、社内のブランドへの情熱、多面的な見方や発想、消費者のド肝を抜いてやろうという新製品開発が減ります。こうなるとジーンは考えるのです。「もうこの会社での俺の仕事は終わった」と。

そのような時、そのジーン(ブラマネ)は他社のスカウトにすんなり乗るわけです。そのブラマネは自分が「持っている」ことを自覚しています。よって次の会社に移る時も成功イメージしか持ちません。コンサルタントを雇うのも同じですが、どうせ人を採るならこういう人をとるべきです。「持っていると自覚している人」。そして「持っている人」に出会うには雇う側も「持って」いなければなりません。そのような雇い主(会社)にはジーンがおのずと現れるものだし、これは波長の問題なのです。つまりジーンに来てもらう、ジーンに棲み続けてもらうには「自らがジーンたること」。

いまは日本企業も同じだと思いますが、実際に外資でのヘッドハンティングで声のかかる頻度の高い人材はいつも同じです。業界内で同じ人が別の会社で更にステップアップした仕事をしていることは珍しくないのです。マーケターの世界では「ジーン」は非常に新しい概念ですが、ヘッドハンターの世界では暗黙知として存在していたと考えられますね。

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