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お客さんの想定外のプロモーション

配信日:2015年7月29日

日曜日の夕方、スーパーマーケットでちょっと変わったプロモーションを見ました。和牛の売り場です。霜降り、または健康的な赤身の分厚いステーキ。価格は2000円のものが4割引き。肉売り場の主任と思われる人がそばで「お買い得」を言うのですが、素通りする人が多く、ましてやカゴに入れてくれるのは少ないようでした。たまたまその売場にいた私は、やがて宣伝文句が変わるのに気付きました。

「さあ、お買い得、お買い得。と言い続けていますがなかなか買ってもらえません。何が悪いのでしょうか。苦戦しています。どうしたら良いでしょう。どなたなか教えて頂けませんか」

選挙カーのうぐいすでもあるまいし、スーパーでこんな販促は初めてみました。興味深いのは文言が変わってしばらくすると、売り場に人が集まってきたことです。「なになに、何か問題なの?」という具合です。そして中には販売員と会話するお客さんもいて、そのような人は概ね買っていきました。なにより売場の立ち寄り率が大きく改善されるプロモーションで、最終的には、肉もいつもより売れたのではないかと思います。

単なる「お買い得」では聞き慣れていて、お客さんの耳には届きません。よって一種の奇襲作戦のようでもあります。何度も使える手ではないと思いますが、お客さんに想定外のプロモーションを考えるうえで良いサンプルではないかと思います。

ブランド体験を設計し実施することのコツでもあります。いつもと同じマンネリのキャンペーンではお客さんも飽きるというもの。ブランド体験がユニークで魅力的なものであれば、お客さんはブランドに強い印象を持ちます。

ここが本来の「ブランディングの現場」です。ブランド価値の定義を行い、ロゴの開発やカラーリングの統一などブランド要素の整理をするだけでは不十分です。それらは「舞台衣装」を着る行為であって、実際に「演じる」、アクションのひきがねを引くことにはなっていません。「ブランディングを始めたのに何も変わりません」という会社は、ブランド体験をいままでと違う視点で強化すれば良いのです。

お客さんは体験することで「ブランドの価値」を認識します。体験自体がユニークで魅力的、または刺激的なサプライズであればあるほど、お客さんの記憶に「粘着」します。ブランディングとはそのような顧客体験を積み重ねることですし、ブランド・マネジメントとはそれを考えながら、実行していくことなのです。

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