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ブランド・マネジメント室の仕事とは?

配信日:2016年08月03日

先日、あるクライアントさんでブランド・ステートメントを作るプロジェクトにアドバイスするように言われました。かれこれ2年ほどお付き合いのあるクライアントさんで、私も会社のことを良く知っているし、会社の方々も私のことをよく知っている状態です。

結果から言うと、いくつかの議論をしながら「生々しいブランド・ステートメント」を作り上げました。わずか2時間程度でしたが「本当にやりたいこと」や「本当になりたい姿」をなんのタブーもなく話し合うことができたから、このような結果になったと思います。

そもそもブランド・ステートメントをまとめるのは「本音で語る」が大事だと思います。どうしても「誰にでも受け入れられるような言葉」でまとめようとするのですが、そうすると結局、誰にも響かないものになります。そうではなくて「上位20%の人だけに熱狂的に受け入れられれば良い」と割り切って作ることです。するとパワフルな実践的なものが出来上がります。

さて、このプロジェクト・チームを見ていてもう一つ気づいたことがあります。それは、いわゆる「ブランド・マネジメント室のプロジェクト」としてブランド・ステートメントを作っているということです。

これ自体は何もおかしなところはないように思われるかもしれませんが、本来、ブランド・ステートメントとは「ラインの統治者(=ブランドを司る事業部)」が作るものであって、スタッフ部門が作るものではありません。しかし日本企業ではこのようなケースが多いのも事実です。その理由は「ブランド・マネジメント室などの管理系の部門がどのような仕事をするのかをちゃんと理解していないから」に原因があります。なので、それを説明しましょう。

事実、「ブランド・マネジメント室はどのようにブランディングに役に立つか」は多くの企業で課題になっています。わからないまま右往左往している会社も少なくないと思います。なぜなら、ブランディングとは、実際には事業部など「ライン」が行う日常業務そのもので、スタッフ部門が「ブランドをこうせえ、ああせえ」というのは(言うのは勝手だとしても)ラインのブランド・マネージャーにしてみたら「余計なおせっかい」に他なりません。「ブランドは僕らの仕事であって、現場も知らないスタッフが何を言うか」というのが本音です。しかし経営者からは「ブランド・マネジメント室としてブランドを管理せよ」と言われます。ここにスタッフ側の大いなる疑問とジレンマがあります。

ブランド・マネジメント室の仕事とは「ブランドの司法」を司ることです。外資でよくある「マーケティング・コントローラー(=財務部)」がマーケティング活動のA&P(広告販促費)の使い方に関してブランド・マネージャーのカウンターパートとして提言・実施の是非を議論するように、ブランド・マネジメント室とは「ブランド・ステートメントに照らし合わせて、ブランド・マネージャーの施策の是非」についてその費用感も含めてカウンターパートになるのが主な仕事です。

「その施策は本当にブランディングに寄与するか」「そのお金の使い方はブランディングの視点から意味があるか」「その施策はブランドの“らしさ”を壊さないか」・・・これらのことをブランド・マネージャーの「監視役」として見るのがブランド・マネジメント室の本来の姿です。このような役割が必要な背景には「ブランド・ステートメントが形骸化している」ことがあります。要はブランド・マネージャーの個人的な嗜好性や見解、独裁を許さないよう、その活動を監視して長期的にブランド育成に貢献できるよう、フィードバック・ループとして存在しています。

ブランド・マネジメント室のマーケターは、事業部のブランド・マネージャーと違って実際の売上には貢献できないけれど、時として「良かれと思って」起きてしまうブランド・マネージャーの暴走を監視する存在として、「ブランドを守る」という点で貢献することになります。もっと良いのは司法を司りながら、「ではどうしたらブランディングをより促進するか」という未来志向の議論をする相手としてブランド・マネージャーの前に立つことでしょう。

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