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アメリカ大統領選が意味すること

配信日:2016年11月02日

バックトゥザフューチャーPartⅡで、悪役のビフがカジノで大成功し「大統領候補と呼び名が高い」と紹介されるシーンがあります。今回のアメリカ大統領選はとてもデジャヴです。まるでビフが実際に共和党選出の大統領候補になり、まさに大統領の一歩手前まで来ている。あの映画がちょうど2015年の世界を描いていることを考えると、なおさら苦笑するしかありません。

これはつまり、バックトゥザフューチャー的に言えば「どこかで時流が変わって、悪い未来に紛れ込んだ」ということでしょうか。または「アメリカ人はどこかでそんな未来を選んできた」ということでしょうか。力がなくなってきているとはいえ、世界情勢のなかのアメリカのポジションを考えれば外国人である私たちにとっても他人事ではありません。

思うにイラク戦争あたりから今の温床はあったように思います。あの戦争はしなくてもよかった。当時もそれはわかっていたでしょう。しかしアメリカ経済を立て直すためには戦争が必要だった。国家経営のための主な戦略だった。結果、アメリカは中東の秩序を壊して恨みを買い、アルカイダやISISを生み出しました。総論でのアメリカ経済は改善されませんでした。一部の富裕層は大いに儲け、格差は拡大しました。その結果、生まれたのが政治への不信。オバマ大統領はがんばったと思うが、「総論的な美辞麗句や正義を言う政治家への不信と嫌気」が生まれた。その結果、作り出されたのがトランプ氏なのでしょう。「もうアメリカ的な建前を言う政治家は嫌だ」と、特にマイノリティや低所得者層が思った。

集合的意識とでも言うものが存在することをあらためて思いました。世の中の不満や問題意識が彼を生み出したと思います。トランプ氏を責めることはできない。ここが映画とは違うところで、社会的ニーズがあったから彼は出来てきたと思うわけです。

3回の公開テレビ討論会、これまでのいきさつを考えるとトランプ氏が当選することは、おそらくないと思います。もちろん彼の女性蔑視の問題のみならずクリントン氏もメールの問題などありますが、これらは大統領選にありがちないつものサプライズです。いや、仮にトランプ氏が勝つにせよ、クリントン氏が勝つにせよ、まるで映画を見るような大統領選挙が行われていること自体、アメリカ国民にとっては警鐘ではないかと思います。「君たち、マジでこんな大統領でいいの?」と問われているように思うのです。つまり「そういう大統領を選ぶ自分たちで満足なのか」と言われている。

おそらく大統領選挙はひとつの具体例であって、世の中で起こることは多かれ少なかれ、そのような意識力が働いているのではないでしょうか。「各自がもっと意識的に生きなければならない」。自分の属する社会に対して不満を募らせるより、自分や社会の将来は“私が描く”ということを再認識して、そのように生きることが社会にとっても大事なのでしょう。

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