ブランド・イノベーションの仕事をしていて気づいたこと

配信日:2017年12月05日

11月18日に(一財)ブランド・マネージャー認定協会のシンポジウムがあり約150人の参加者を前にしてトークセッションの進行役を務めました。セッションの参加メンバーは中央大学ビジネススクールの田中洋先生、経営コンサルタントの阪本啓一先生、日本ブランド戦略研究所の榛沢明浩先生、名古屋経済大学のソ・ソンミン先生。150人の聴衆と、これらの先生方を前に約45分間の議論のモデレーションを行うのは、なかなか興味深い体験でした。

テーマは「ブランディングを実施していく組織風土・土壌づくり」でしたが、話はもっと面白いほうに展開していきまして、文字通り「トークセッション」らしい内容になりました。もともとトークセッションとは「ファイヤー・トークセッション」と言って、キャンプの時に焚火を囲んでみんなで話すように、話の流れに任せながら面白いトークを引き出すのが本来の意味なので、このようなことで良いのです。

ある先生の最近の興味は「強いブランドとイノベーションの相関関係」とのこと。私も最近はこのテーマを追っていたので興味深く聞きました。ご存知の方も多いかと思いますが、最近はブランディングにオープンイノベーションを取り入れるトレンドがあります。特に「カテゴリーの再発明」「既存カテゴリーの進化の方向性を探索する」などは活発に行われていて、私も仕事のなかでこのようなテーマを扱っています。

イノベーションというのは不思議なもので、この仕事を通じて一番得しているのは私自身ではないかと感じます。なによりもまだほとんどのマーケターが気づいていない領域や発想について学べること。同時にそれをナレッジとして自分ごと化できることです。それをクライアントの方々と共有するのは本当に楽しい。正直、正しい答えが複数あります。それを、例えばクラスター分析にかけて整理し、「おそらくこの方向で動くのではないか」と仮説を立てることは実に興奮します。

実は個人的なベネフィットになったことは他にもあります。それは私もまた、もっと勉強しなければならないと気づけたことです。ブランディングの実務的な理論自体もどんどん進化しています。手法的なことを言えば、もっとです。それにキャッチアップしていくには自分自身にも変革を起こしていく必要がある。イノベーションのプロジェクトを行っていくうちに、いままで通りの自分では満足できなくなりました。まず、私がこの半年のうちに始めた勉強はプログラミングです。いま、仕事の合間に時間を見つけ、学校に通って集中的に勉強しています。内容は、正直、面白くないのです。しかし、これもそのうち仕事で使うだろうし、今後、コンピューターに指示を出せないようではマーケティングや経営の仕事は難しいと思っています。

再び仕事の話に戻りますと、いまはまだアイディエーションのレベルでイノベーションを云々していますが、今後は実施レベルでそれを実現していくことですね。そこにはシーズの問題もあるし投資の問題もある。あるいはオープンイノベーションを拡張させたインプリレベルでのプロジェクト運営も絡んでくるでしょう。そのようなことをやっていくにも、やはり私も含めてマーケター自身が新しいことを学んでいく必要があると思います。

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