ブランド・イメージとは何か?

配信日:2018年02月06日

消費者の「買う・買わない」は行為の問題なのですが、行為はブランド・イメージ、または消費者のブランドへのレッテルによるのです。よってレッテルを変えることが出来れば、売上(買うという行為)も回復します。

ブランド・イメージとは、ブランドについての知識・経験・想像・期待によって形成された知覚(パーセプション)です。「知覚」というのがキーワードです。これは「~のように見える・感じる」というもので、感覚的に捉えられた特徴をいいます。一方、知覚の対義語として「事実(ファクト)」があります。事実とは「現実に存在する事柄」です。人間がどのように感じるかは関係のない真の姿をいいます。一般的なマーケターが重視するのは事実のほうです。例えば製品開発を行う時、競合他社の製品をベンチマークに品質の優劣を検討します。そして「事実として優れた製品」を作ろうとします。これは当然のことなのですが、顧客が「優れた製品」と理解するのは知覚を通じてです。ひとは「自分」というフィルターを通す以上、真に客観的な判断というのは出来ないわけで、どうしても主観的な知覚を通じた評価になるものです。つまり事実としての品質よりも「より優れた製品のように思われる」という知覚がビジネスでの売上に繋がるのです。これがブランド・イメージのビジネス的な意義だと言えます。

ただし、だからといっていいかげんな品質のものを、さも「良き品質」として見せるのは経営努力を軽視する考え方です。品質の向上、サービスレベルの向上を目指すのは、立派な会社が重んじる「しかるべき態度・規範」であることは言うまでもありません。

さて、知覚の効果についてはネスレのインスタントコーヒーの話が有名です。1950年代のアメリカ。ネスレは忙しい主婦のためにインスタントコーヒーを発売しました。しかし売上は芳しくない。理由を聞いてみると「レギュラーコーヒーに比べて美味しくないから」とのことでした。ネスレは品質改良を行い、再度売り出してみましたが、今回も「美味しくない」。売上はなかなか伸びません。「本当に美味しくないのだろうか」。そこでブラインド調査(製品名を隠して味の評価をすること)を実施してみると「味はレギュラーコーヒーと遜色ない」との結果を得ました。では何故売れないのか?更に消費者に対してデプスインタビュー(深層心理インタビュー)を行ってみると興味深い答えが出てきました。「大事な家族にインスタントコーヒーを使うなんて、まるで手抜き主婦と思われるのではないか」。つまり主婦の自己イメージが損なわれることへの危惧が出てきたのです。これがインスタントコーヒーにまつわる「知覚」でした。レギュラーコーヒーもまともに淹れない怠け者主婦と思われる心配こそがインスタントコーヒーに躊躇する理由だったのです。そこでネスレは「目標とする知覚」を「忙しい朝に時間の節約が出来て、かつ味もわかる合理的な賢い主婦が選ぶコーヒー」と決めコミュニケーションを行いました。「合理的な賢い判断が出来る主婦なら、時短が出来て、かつ味も申し分ないこのコーヒーを買わないわけがない」。これによって主婦の知覚は変更され、インスタントコーヒーは飛躍的に売上を伸ばすことに成功しました。

この事例はまさに「消費者の知覚を変えれば行動も変わる」を意味します。ブランド認知はあるが現在、売れていないという状況があるのなら、それは知覚が原因かもしれません。それなのに売上を上げようとプロモーション・プッシュを行なったり、価格を下げたりしても、そもそも知覚が悪いわけですから、大して売れないのです。元々顧客だった人たちは買うでしょうが、それ以上に新規顧客の取り込みは難しいのです。よって「現在、どのように知覚されているか」を知ることが大事になります。そして「望ましい知覚はどのようなものか」を決めて、知覚の変更を試みることが大事です。

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