ニッチな商品ほど高く売るて

配信日:2011年日

先日、愛知県の地ビール会社の方から相談を受けました。地元の名物「赤味噌」を使った地ビールで、愛知県内で販売しています。「新聞などにも取り上げられてそれなりに話題にはなったのですが売上がついてきません。そのような状況なので営業担当はもっぱら値段を下げて売ることを考えています。」

なるほど、と頷いてはみたものの、売上が悪い原因は直ぐにも理解できます。地元愛もあって、赤味噌を使った地ビールと聞けば一度は試してみたくなるものの、一度試したら(どんなものか理解できたら)もういいや、となるのが普通のように思うのです。普段、普通にスーパーで買えるキリンビールやアサヒビールを差し置いて、わざわざ取り寄せて赤味噌ビールを飲み続ける理由があまりないと言っても良いかと思います。

「パブリシティが効かないから売上が取れないのではなくて、試し買いした人たちのリピートがとても低いのではないでしょうか?」

逆に言えば、そのようなニッチな製品は値段を下げたからと言って売上が改善されるとは思えません。むしろ高価格のほうが稀少価値が増し売上も改善されるようにすら思います。

ではどのように売上を上げるのかというと「販売地域を広げる」のが正解です。これはなにも地ビールに限ったことではありません。ニッチな商品というのは深く刺さる顧客を捕まえることが大切で、そのためには現在の販売エリアに固執せず間口を広げることが重要です。いまはネット販売も簡単ですから、販売エリアの拡大はそんなに難しい課題ではありません。

考えて見れば、世界的に成功したビール・ブランドは、すべからく販売エリアを拡大させることで成長してきました。それがハイネケンというオランダ製ビールや、コロナというメキシコ製ビール、シンハーというタイ製ビールがグローバル・ブランドになった理由です。日頃は日本製のビールを飲んでいる消費者も、たまにはハイネケン、コロナ、シンハーを飲みたいと思うものです。これがニッチな市場でのマーケティングに違いありません。

これは我々のような独立自営業でも同じことです。個人の能力やノウハウをサービスとする以上、大きな企業のように全方位的な布陣を張ることは不可能ですし、仮にそれをやったところで勝ち目はありません。我々はどこまでいってもニッチな市場で特殊なサービスを売ることから離れることは出来ないのです。

そのようなサービスを売るには、出来るだけ価格を高めに設定し、認知の拡大を通じて販売エリアを拡大すること。そしてサービスの内容は常にフォーカスしておくこと(中庸に流れないこと)がやはり重要です。

逆に安くして大量に売るには相当緻密な戦略性が要求されます。仕入れは高いまま、製品やサービスのスペックはニッチなままでは、まず無理です。市場のど真ん中に向けてハイエンドな商品を提供できなければなりません。これを「ハイエンド戦略」と言います。

例えばユニクロはハイエンド戦略の典型です。ユニクロのポロシャツやパンツは特に特徴のあるデザインではありません。誰が着てもどこで着ても問題のない中庸なものです。こういうものこそ低価格での量販が向く商材です。そして文字通り一気に市場を席巻するほどのマーケティング展開力が要求されます。

もし我々がそのような展開力を持っているならまだしも、そうでないのならば別のことを考えることが重要といえます。ニッチにはニッチなりのマーケティングがあるわけです

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