俳優の友人。そして私の苦い経験談

ちょっと考えさせられた友人の話、そして私の苦い経験談をシェアしたいと思います。彼はダイエット・コーチングのトレーナーをしています。元々、俳優業をやっていて、かなりのイケメンです。俳優は演技力もそうですが、当然、見た目も大事な商売道具。体調管理や体型管理、しかも「美しく見せる体型管理」に長けています。

そのようなノウハウを活かして、オンラインでのダイエット・コーチングを始めました。男であれ女であれ、きれいな体型を手に入れたい人のためのコースです。これを彼は「人生を変える７週間プログラム」として展開しています。臨床例もそれなりに集まってきました。よく「あと○○キロ、体重が減ったら人生が変わるのに」という人がいますね。事実、体型が変わることで人生が変わるようです。アピアランス（外見）が変わり、対人影響力が大幅にアップするからです。（ご興味のある方はメルマガの最後をご覧ください。本人も了解のもと、連絡先を紹介しています）

さて、そんな彼ですが、今後、今以上にビジネスを展開するにあたって、色々とパートナーを探していました。そして何人かのパートナー候補者に企画書を持ち込みました。元々、俳優業をしていたバックグラウンド、しかもアメリカ・ピッツバーグ留学によるＰＨＩピラティスの資格保持者、さらに栄養学もしっかり学んでいるので、大体は当たりが良いのです。しかしビジネスの共同経営者はなかなか見つかりませんでした。何が問題だったのか？

実は、彼にはトラウマがありました。以前、信じていた友人とダイエットの仕事をして、あまり上手く行かなかった経験です。彼はとてもやさしい性格。しかも俳優業をやっていてビジネス経験がほとんどありません。そのような状態で共同経営者だった友人に、ビジネスの旨味をすべて持っていかれたのです。その友人は彼を「客寄せパンダ」として利用したのですね。今回のビジネスでも、彼自身の経歴とノウハウを見せると、たいていのパートナー候補が同じような目で彼を見るのでした。

私は話を聞いていて、彼が躊躇する気持ちもよくわかりました。そして私も、同じように自分の苦い経験を思い出しました。詳しくは話しませんが、ある人に結構なお金を貸して、その人が雲隠れしてしまったという経験があります。もう９年も前です。５年来の付き合いで、私は彼を友人と思っていました。当時、彼は会社の運転資金に困っていて、それでお金を貸したのですが、彼は私を旨味とみていたのでしょう。後で関係者から聞くと、かなりの個人的な使い込みがありました。

今思えば、一旦でも信じた私が悪い。これは真実です。自分の思惑どおりにならなかったから怒るというのは自分勝手だと思います。しかし当時、私は怒りを感じる以上にショックでした。彼にしてみたら、お金を返せなくなったので逃げたのですが、「こちらは借金取り立てのようなことはしない。逃げる必要はないじゃないか」と思いました。

私にしてみたら、時間がどれだけかかろうと、返す姿勢を見せてくれれば良かっただけです。実はいま、彼がどこに隠れているのか、どんな気分で生活をしているのかも知っています。しかし取り立てようとは思いません。連絡もしないし、責めもしません。彼が少額ずつでも返済し続けたら、私は応援したでしょう。むしろ尊敬すらしたでしょう。しかし、そのチャンスを失いました。

さて、俳優の彼に話を戻します。私はアドバイスしました。「どんなビジネス・パートナーも、お互いに相手を利用する目的で付き合うと、最終的には上手くいかない。ビジネス・パートナーはお互いの成功を祈るような関係でなければ、長続きしないですよ。そういう相手は探そうとしてはダメです。目の前に現れるのを待つしかない。もしあなたが頑張っていれば、必ずそういう人が現れます。利用しようとする人も出てくるだろうけど、中には、あなたを応援したいと思う人が必ず出てきます。そういう人は、話してみれば感じるものです」

いま、彼は自分ひとりで経営しています。パートナーがいなければ仕事ができないわけではない。また、誰かと組めば必ず成功するというわけでもない。ましてや「絶対にうまくいきますよ」などという人を信じてはいけない。どんなビジネスも「うまくいくかどうかわからないけど、一生懸命やるしかないですね」というのが本当です。相手に依存してはいけない。努力を惜しんではいけない。つまり、ビジネス経験があろうとなかろうと、自分の頭で考え実行することが大事なのですね。そうやって頑張っていると、その姿に惚れる人が必ず出てくるものです。そういう人こそ将来の話をするに足る人物だと思います。

庄信幸（しょうのぶゆき）さん
ブランニュー・グループ代表
sho928@live.jp