みなさんの企画を見れば一目瞭然です。

配信日:2014年7月9日

週末は同文館出版社の出版会議でした。出版会議とは本を出したい人が出版社に企画を持ち込む「企画会議」です。自費出版を勧めるものではなく、あくまでも商業出版での著者を発掘する場になっています。私は去年、同文館さんから書籍を出させてもらったご縁で、以来、出版会議にオブザーバー兼アドバイザーとして出ています。

今回は企画提出者が9人。それぞれの方が10分ほど企画のプレゼンをして、それに対して他の出席者が意見・アドバイスをします。この方々を見ていて私はいつも思うことがあります。「人間の性質」についてです。

いくつかの性質を発見しました。ニーズと言っても良いかもしれません。まず「経験から学び、それを他人に伝えたい」という性質です。みなさんの企画内容をみれば一目瞭然です。テーマは様々ですが、どのひとも自分の経験を他者と共有し共感してほしいというのがよくわかります。結局、出版会議で通る企画というのは評価する我々(または出版社)が「どの程度、その経験に共感できるか」が判断のしどころではないかと思います。

次に感じた「人間の性質」は「創造し現状を変えたい」というものでしょう。現状に留まるのではなく、それを超える試みをしたい。出版会議に企画を提出するひとたちは100%、新しいチャレンジを好む人たちです。本を出したい背景や理由は人それぞれですが、それが新しいチャレンジであることは間違いありません。主婦をしている人やサロンを経営している人、クリーニング店の店主、防災の専門家、その他、様々な職業の人がいますが、共通するのは「現状を打破して、もう一皮むける」こと。おそらくこれは「人間の性質」のなかでもかなりコアのものではないかと思います。現状維持を好む、コンフォートゾーンに留まる人も、やがていつかはそれに飽き、新しい挑戦をしてみたくなるのではないでしょうか。

最後に思った「人間の性質」は「自分とは何かを知りたい」です。結局は自分に向き合い、確認することが文字になります。もっと言うなら「こんな本が求められているから書くのだ」という企画は、実は少なくて、「こんな自分を表現したい」という企画が多いのが特徴でした。その場合、いかに「書きたい内容」を市場性と整合させるかに焦点を合わせた議論がなされます。あるいはあまりにも市場性がない場合、企画内容の再考を求められます。

結局、ひととは「自分のことに一番興味がある」のかもしれません。社会生活を送る理由も「他者を通じて自分を発見する」ことが目的かもしれませんし、他者との関係性のなかで「どういう自分でありたいか」を問われているようにも感じます。

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