グローバル・ブランディングのコツとは?

配信日:2014年7月30日

週末にバンコクに住む妹が帰国したので会いました。妹はいま、現地でシンクタンクを作り日本企業のアセアン進出を支援する仕事(フィージビリティ・スタディ:進出可能性調査)をしています。話は必然的にそのようなテーマになりました。今回はグローバル市場でのブランディングについて考えてみましょう。

私が考えるに、いま、グローバル市場は地方分権的なローカライズド・マーケティングよりも、中央集権的なグローバライズド・マーケティングのほうに軍配が上がるように思います。それをよしとする意見もありますが、ローカル市場でのマネージャーにしてみたら、それは単なる「本社レギュレーションの押し付け」または「マーケティングの柔軟性の欠如」と映る可能性が高いようです。

そしてレギュレーション管理の実態は「ブランド・ステートメントの共有」や「戦略マーケティング・チーム会議」のような、各国マネージャーとの情報交換会議に終始します。私もそれらを経験していますが、実感としてはそれでグローバルなブランド・マネジメントをしているという感じはあまりしなかったものです。日々の業務や意思決定には、参考程度にはなっても決定打にはならなかったですし、正直、「会議のための会議」に出席するかのごとく、形骸化していると思っていました。「グローバル気分を味わうレベル」だったと言えます。

一方、本物のグローバル企業では経営幹部(またはその候補生)を異文化の市場に赴任させ、そこでの経営実体験を積ませてグローバルな視点を持たせることが多いのです。あたかもイエズス会の宣教師のごとく、否応なく比較的若いころから「これは」と思われる人材を海外現地法人に赴任させてビジネス体験を積ませるわけです。

確かにこのやり方はグローバルな視点、厳密には「クロス・カルチュアルな視点」を身につけることが可能で、最終的には各国文化のダイバシティ(多様性)を受け入れ活用するスキルが身に付きます。それによって彼らが日本に帰ってきたときに、本当の意味でのグローバル・ブランディングを推進する原動力になるようです。仮に属人的な経験であっても、経営幹部が異文化体験を積むことでクロス・カルチュアル、または多様性を理解し受け入れる経営が出来るようになります。

つまり私の考えでは、グローバル・ブランディングとは、本社のグローバル・ブランディング・ディレクターが考えた画一的な手段・戦略を絶対視して、現法のマネージャーが忠誠を尽くすブランディングではなく、グローバルな人材や異文化で生活した人たちの多様なアイデア(ダイバシティ)を受け入れ活用するブランディング発想です。そのようなダイバシティ活用の術をもっと効率的に身につける、または実際のビジネスで活用していくことこそ日本企業の課題だと思われます。同時にこれが真にグローバル・ブランディングを推進する道(アプローチ)ではないかと考えています。

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