配信日:2015年01月07日
ブランディングを日々仕事にしていると「いかに競争しないか」という発想になりがちです。今回はそんな話をしましょう。
ビジネスでも人間関係でも「競争しない(争わない)」関係が理想的ではないでしょうか。ユニークな存在としてブランドを確立するのは「そのためですらある」と思うこともあります。もちろん、こちらが競争を回避しても競合ブランドがケンカを仕掛けてくることはあるわけで、そんな時にどうするのかが、もどかしいところですね。
しかしそのように競争志向の強いブランドは、世間からは、どこか「痛々しく見える」ものです。おそらく近視眼的になっているのでしょう。そんな時に「同じ土俵に降りて戦うか」「己こそが競争相手であり自らの革新と愚直な努力にいそしむか」で企業のあり方が問われるようにも思います。最近は後者の企業が増えているのではないでしょうか?
ブランディングでは「そもそも競争をしなくてもよい」状態に自らを置くことを好みます。そのためにポジショニングを決めるのだし、ブランド・ステートメントで「得意なことだけを他社の何倍も行う」ことを決断するわけです。
さて、もし競争をしなければならないとしたらどうするか。それをいくつか紹介しましょう。まず競争戦略の基本的なスタンスは「相手が競争を仕掛けられていると気づかないように競争すること」です。つまり「ケンカを吹っ掛けられている」と気づかれないように立ち回ることです。これは目の前の競合関係を補完関係に替える発想です。この場合、そもそも「競争」という言葉自体が相応しくないかもしれません。競合ブランドと共存するスキームを一緒に作ろうとします。世の中には「競争よりも協働」を志向することで、群雄割拠の企業グループを再編・再構成する動きをしているところもあります。
次に、もし明白な競争をするのならば、「競合企業を叩いても競合はこちらを叩けない」仕掛けをしておくことが大事です。多くの場合、「模倣」がビジネスやマーケティングで見られる「叩き方」なので、模倣されない仕掛けが必要です。かなり難しいテーマではあります。しかしこのような事例も世の中には厳然と存在します。例えば「そのやり方を真似るとブランド本来のロジックと矛盾し弱体化を招く」「それを真似すると自らの利益率が悪化する」「それを真似するとあまりにも効率が悪い」などです。このようにこちらを叩くことで自らの首が絞まるようなトラップを敷いておくのが競争戦略のコツです。