ひとやブランドの「老い」とは何か?
2016年05月02日
ゴールデンウィークの2日目、伊豆にいるメンターに会ってきました。今年でちょうど60歳になるメンターは、先日、高校の同窓会に出席したと言っていました。還暦を祝う意味もあり250人も参加したとのことでした。
「250人もいるけど、6割は小学校からの幼馴染。見ると“随分、歳をとったなぁ”というのと“益々輝いているなぁ”というのがはっきり分かれていたね」。聞けば、毎日、新しいことに興味を持って人生を生きている友人は、益々顔つきが良くなっているけれど、特にやりたいこともなく、なんとなく過ごしている友人は表情も老けていて、しわしわの顔をしていたらしいのです。「お前、そんなんじゃダメだ」と友達同士で言いあって笑いあっていたらしく、そのまま3次会までなだれ込んだと言っていました。ちなみにメンター自身はいまでも日本全国を飛び回っている状態で、益々よい顔つきになったと言われたらしく、とても喜んでいました。(笑)
昨夜、夜中にタクシーを拾った時のこと。信号待ちで直進のレーンに入っていました。信号は赤でしたが下のシグナルで右折可の矢印が出ていて「あ、右折でも大丈夫なので行ってください」と運転手さんに言いました。しかし「いや、ここはまっすぐのレーンなので右折は出来ないのです」と言われてしまい、私もそれ以上は何も言いませんでした。
見れば止まっている車は他になく(夜中の1時過ぎでした)、右折しようとすれば出来るのにしなかった。たかが右折なのに「めんどうだ」と思ったのでしょう。ちらっと顔を見ると「しわしわの顔」をしていました。興味深くなって「運転手さん、何歳ですか?」と聞くと、「50歳です」と答えてくれました。私はびっくりしました。正直、60歳以上に見えました。そして自分と大して歳が変わらないことに驚愕しました。融通が利かない、自分の思うようにやるのが一番楽だ、というのも「しわしわの顔」の傾向だと思いました。
ブランドも人と全く同じで、歴史のあるブランドでも、顧客に新しい提案や気の利いたコミュニケーションを怠らない場合は「益々輝いている」と言えます。それらのブランドには「やること」に工夫があり顧客との関係性も鮮度がいいのですね。飽きないブランドと言えます。
逆に少しばかりの成功で確立した新興ブランドであっても、「うちのブランドはこういうもの」と固定観念で決めつけてしまって、やることも「いつもと同じ」になってしまうと、やはり「しわしわの顔」になる。良く見かけるのは何かのキャンペーンで成功すると、その成功体験そのものが足かせになって、新しいことをやらない(または考えない)ケースです。“成功のレシピ”もやはり賞味期限があるのでしょう。そして真に成功するブランドとは、自らの成功のレシピに挑戦し、それを凌駕することで更なる進化を遂げるようです。
人もブランドも「歳をとる」とは、生きている年数ではなく、世の中や市場、または変化への興味がなくなることのように思います。モノの見方が硬直化し、精神的なゆとりや遊びがなくなった状態こそ、私たちが人生においてもビジネスにおいても、もっとも忌むべきことかもしれません。どういう生き方をするかが大事です。どうか、いつも「益々輝く」あなたやブランドであってください。