ニートになりたいという大学生に会いました。

2017年03月21日

先日、ある大学生と話す機会がありました。僕がコンサルタントだと知って、話はおのずと将来のことになりました。将来の夢は何か、そんなことを話してくれました。「ニートになりたいです」。ちょっと驚きましたが、そのように正直に言ってくれました。

なぜ、ニートになりたいのか?「会社や仕事に縛られず自由気ままに過ごしたいから」。なるほど、正直な欲求だと思いました。そして将来、自由気ままに過ごすために、今はバイトをしてお金を貯めているとのこと。バイトは6つも掛け持ちしてやっていると。

僕は笑って聞いていました。「働きたくない」というのも一つの夢ではあります。何も夢とは「何かに貢献すること」や「立派なことを成し遂げる」ことだけではありません。もっと普通で俗っぽいことであっても、それは個人の自由だし誰も否定するようなことではありません。むしろ親や周囲から余計な期待を持たれて、世間体のよい夢を強要される(または思い込まされる)ほうが不幸と言えば不幸です。

ただ興味深いのは、何もやらないために、いま6つもバイトをしていることです。考えてみれば可笑しな矛盾です。ニートどころか普通の年代の子たちよりも働いている。おそらくこの大学生はニートどころか、人よりも熱心に働く大人になると思いました。なぜなら多くの仕事を経験することで、やがて本当に好きなことが見つかってしまうからです。好きなものを知るには「嫌いなもの(仕事)」を知らなければなりません。最初は、これは出来る仕事や希望の仕事だと思って始めるのですが、やってみると「思っていたほどと楽しくない」とか「意外と面白い」とか、自分との相性を知ることによって天職は見つかるものです。

サラリーマンも同じでして、色々な部署や職場、または会社を経験することで自分の「強み」「嗜好性」「専門性」を知るものです。もっともこれは35歳までの話ではあります。35歳はマジックナンバーです。新卒入社して35歳までに頭角を現す人は、36歳以降の仕事人生もうまく行くようなのです。仮に新しい仕事でも、35歳までのノウハウや知識が基礎体力になっています。

そのようなひとは、間違いなく20代を全力で走ったひとです。入社して最初は小さな仕事を与えられる。「なんだ、こんな仕事」と愚痴を言うことはあっても、粛々と真面目に取り組む。迅速に処理する。すると上司や周囲が次の「ちょっと大きめの仕事」をくれる。それをまた真面目にこなす。周囲はこの若者を信用して、どんどん大きな仕事や権限を与えるようになります。そのようにがむしゃらに働くことでやがて会社はその若者を「人材」として処するようになります。

僕の見たところ、会社で出世している人というのは、20代の頃から「キラリと光るもの」があったり「ひとかどの人物」と認知されていたりするようで、比較的若いうちから大事な仕事、大きな仕事を任されて、必死になってやってきた人たちです。出る杭は打たれるなどということはどうでもよいのです。そもそも出る杭にならずして偉くなった人などいない。そのようにがむしゃらに働くことで、ひとつの専門分野から周辺分野へ自分の領域を広げていきます。そして、スペシャリスト(職人)としてよりもジェネラリスト(経営者)として認知されたひとから取締役への道が開かれるようなのです。

よって、大学生であれサラリーマンであれ、若いうちに出来るだけ新しいことや違うことに意識的に取り組むことが大事。小さな仕事でも真面目に迅速にやることが大事。そして自分の分野に早く気づき、それをベースに周辺分野へ領域を広げていくことが肝心です。もし新卒の若い部下が4月から入ってくるようならアドバイスをしてあげてください。

年別バックナンバー

資料請求・ご相談はこちら ▶

bmwin

『ブランド戦略をゼロベースで見直す!』
ご相談、お問い合わせはこちらから▶