猛暑とサマータイム
配信日:2018年08月22日
1カ月ほど前、東京の暑い夏にオリンピックをすることを懸念して、オリンピック・パラリンピック組織委員会会長から「サマータイムを導入して開始時間を早めてはどうか」という打診があったらしいですね。私が一番わからないのは、森さんの考えに従うなら、サマータイムなど導入せずとも朝7時のゲーム開始を朝5時開始に早めればいいだけだと思うのですが、それでは許してもらえないのか。安部さんも可笑しなことを持ち掛けられて大変だなと思います。
「いろいろなメリット」もあるらしいですが、調べてみると、サマータイムが風物詩になっているユーロ圏ではサマータイム廃止論が出ているそうですね。100年前の導入時から、あると言われていたメリットがほとんどないとのこと。そのような100年の年月をかけた実証結果があるのなら、なおさらサマータイムをいま論じる必要はないかもしれません。
ところで、私にとってサマータイムとはもっと自然な生き方を意味するものです。つまり「太陽が昇るのと同時に一日の活動を始め、沈んだら休む」というもの。お百姓さんはもちろん、おそらく昔の日本人は普通にサマータイムをしていたんじゃないかな。夏は4時半くらいから明るいし、そのうえ朝型の仕事や勉強は昼の何倍もはかどります。
これが12月や1月の冬だと真っ暗なうえに寒い。数年前、書籍の執筆をしている時、締切りのために2か月で書き上げたことがありました。その時は真冬でしたが、朝5時から9時までを執筆時間にあててやり遂げました。やり遂げはしたけれど、外はまだ暗くて寒くて、あれは辛かった。冬の朝は、そうなるとやはりもう少し布団に入っていたいわけです。いずれにしても太陽と共に起きて働くというのは、非常に理にかなった生活リズムなのです。
サマータイムは政府や経営者からするとひとびとをより労働させるに都合の良い制度かもしれません。効率が上がるように労働時間を再定義し、生産性をあげる手段です。私の経験でも朝型のワークスタイルは効率が良く、朝9時までに一日の仕事を終えることも可能です。一方で現代ではワークシェアリングというコンセプトが出てきている現実もあります。特にフランスなどEUではそうで、法律的に働ける時間が限られている。長時間働くということ自体が不可能になりつつあります。
「暑さの問題にサマータイム」は理解できないですが、これだけ暑いとサマータイムよりもシエスタの導入を検討したほうが良いのではないかと思います。つまり早朝から正午まで働いて、めちゃくちゃ暑い午後から夕方は休み、涼しくなる夕方からまた働く。もちろん職種によってはオフィスで涼しく働くひとがいても良いのですが、外回りの仕事などはあまりにも大変。かくいう私も、あまりの暑さに体力を奪われ、時にはオフィスや自宅に帰ってぐったりすることもあります。シエスタなどというと、なんだか怠けているひとたちのイメージかもしれませんが、これも暑い南欧諸国では自然の理にかなったシステムだったのではないかと思います。