組織の活性化とはどのように行われるか

配信日:2019年3月27日

先日、クライアントさんの経営会議で周年事業プロジェクトの中間報告を行いました。テーマは社名の変更です。14人の実行委員と昨年の10月から取り組んできて、いよいよ経営陣に新社名の提案をする建付です。

プレゼンの内容は新社名3案を提案すること以上に、それまで実行委員のなかでどのような議論をしてきたか、その都度、どのような葛藤があり、どのように考え最終結論に至ったかが中心になりました。全員が真剣に自社の過去と未来を考え、その想いを社名に込める行為は、文字通りの「組織活性化」だったと思います。日頃、経営方針や経営理念を会社側から示されても、なかなかその意味を汲み取った仕事をしていくのは難しいのが現状でしたが、今回は違いました。各人が当事者意識を持ち、会社の行く末を考える絶好の機会でした。

経営答申の場で社長が「いまの名前を変えない(その代わりにロゴデザインやタグラインで社名の一新を図る)という案はありませんでしたか」と実行委員に尋ねました。ある意味、社名(コーポレイト・ネーム)の変更を前提にしたプロジェクトだっただけに意表を突く質問だったかもしれません。実はこの「変えない」というオプションも実行委員のなかでは話し合われており、その時も議論は白熱していました。その結果、最終的に変更案3案を提案していたのです。実行委員の一人の女性が立ち上がって語り始めました。「これは私の個人的な意見で、決して今回の3案を否定するものではありませんが・・・私はいまの社名に誇りをもっています。とても愛着があるし、私の人生の一部です。出来ることなら、私はいまの名前を変えないで、その代わりにタグラインで未来への想いを伝え、ロゴデザインで新しいイメージを作れたらと思っています」。そして「今朝、書いてきたのですが」と前置きをして習字紙に毛筆で書かれたいまの社名を堂々と見せてくれました。

社長は・・・「嬉しいなぁ、本当に嬉しい!」と感極まりながら受け答えをしてくれました。その様子を見て、僕ももらい泣き。そして他の役員や実行委員の方々も嬉しくてしかたなかったと思います。社員が、実行委員という枠を超えて、一人の社員としていまの会社を愛しているのが伝わりました。そして社長が続けました。「ただ今回は未来への方針も出していて、そのなかで名前そのものの変更を検討してもらったので、みなさんの提案を重く受け取り真剣に意思決定させて頂きます」。その後、いくつかの質疑応答をして会議はなごやかに終了しました。

周年事業というのは本当に組織を活性化する絶好のチャンスだと思います。日頃、社員にどれだけ「変革」や「改革」を言ってもピンっとこないのは、きっと各人に「自社の行く末や将来ビジョン」を真剣に考える機会が少ないからです。またプロジェクトのように体系立ててそれを考える方法がわからないからです。社員側の問題だけでもありません。経営答申で見せたリーダー(社長)の正直な感想、自己開示。こういうことも日頃、なかなか目にすることは少ないかもしれません。でも社内への一体感醸成には絶大な効果があると感じました。管理、管理でガチガチのリーダーよりも、弱さや迷いも含めて自己開示できるリーダーこそ、部下に慕われ協力したくなるのだと、あらためて感じた経営答申でした。

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