新入社員研修について

配信日:2019年4月10日

4月になって早々、珍しくオフィスで仕事をしているとテレアポの電話がかかってきました。「ITの会社です。本日は私どもの何々というサービスを一緒に広めてもらえるパートナー探しの電話をしました。これはメールで会議や商談ができるサービスです。つきましては本日15時半以降か明日の午後にお会いできないでしょうか」。

パートナー探しと銘打った物売り。メールで商談?今日の15時半に会えないか?いったい、何のことか?こんな感じの電話でした。テレアポの電話を受ける時、私はいつも「かわいそうだな」と思っています。というのも、成約の可能性が極めて低いうえに、知りもしない人に無理やり電話させられて、たいていはむげに断られる。気の毒です。だから僕はやさしく対応するようにしています。

電話の話し方から、かけてきたのは新入社員のようでした。おそらく顧客へのアプローチに慣れさせるため、または商売の厳しさや商談成立のありがたさ、達成感を体験させるためのトレーニングの一環だと思います。しかしこんなやり方では入社早々に「間違ったビジネス観」を植え付けるだけです。そもそもテレアポという方法が研修としてはまずい。電話口でむげに断られ、時には叱られ、こんな仕事は嫌だと思うことでしょう。「仕事とはつらいものだ」「顧客とは怖いものだ」という間違った教育をするようなものです。

そう感じた新入社員は早々に退職するか、さもなければ「さぼる」ことを考える。こうしてまた一人、「手抜きの社員」が出来上がる。顧客との本当のコミュニケーションなど望むべくもありません。そして彼・彼女が後輩を持つようになった時、同じように新人研修の通過儀礼としてテレアポをさせる。これが毎年繰り返させると、その会社は手抜きの社員で一杯になります。

新人研修は過保護なくらい「手をかける」ことが大事です。そして出来るだけ褒めて育てる。仕事に興味を持つように、楽しい経験をさせる。なにより講師役で出てくる先輩社員が輝いていること。「あの人のようになりたい」と憧れるような人が出てきて、現場での成功体験や学びを語ることが、新人にとってモチベーションになるのです。

僕もメーカーや広告代理店の新人研修を請け負いますが、現場でのマーケティングがどれほど楽しいものかを実体験ベースで話します。失敗体験もたくさん話します。そしてもっと楽しいのは休憩時間。ランチの時などに個人的な話を交えながら、マーケターのキャリアや人生について語り合います。研修内容の質問よりも個人的な質問のほうが断然多いのが特徴です。

考えてみれば、僕が独立当時に請け負った10数年前のあの研修。あの時の彼らは今、どうしているだろう。もう会社の中堅社員になっているはずです。ひょっとしたら僕が当時したようにマーケティング研修を新人向けにやっているかもしれない。そんな時に僕の研修をモデルにしてくれていたら嬉しいなと思います。

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2019年2月6日配信
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