学ぶ側の姿勢、教える側の姿勢

配信日:2019年10月16日

先週、プレジデント誌12月号の取材を受けました。「人生を豊かにする孤独タイムの有効活用法」という特集で、インタビューでは「勉強を再開する」という切り口で色々とお話しました。僕のような勉強下手がこのようなテーマでインタビューを受けるなど、何ともおこがましい話ですが、インタビュアーの方が上手だったので、いつものノリで1時間ほど楽しく話させてもらいました。いまから雑誌の発売日(11月初旬)が待ち遠しいです。

社会人が勉強を再開することをリカレント教育といいます。働き方改革の文脈で出てくる言葉なのでご存知の方も多いと思います。僕自身、いま国家資格キャリアコンサルタントの資格に挑戦していて、リカレント教育を自分に施している真最中です。この歳になって学校に戻ると、いろいろと「学ぶ側の姿勢や、教える側の姿勢」の気づきもあります。

学ぶ側の気づきで、まず注意するべきなのは「自分の社会人経験が学びを制限する」です。つまり仮にも30年近く社会人をしてきた人生経験と実社会での知恵が、テキストの内容の是非や、情報の要・不要、役に立つ・役に立たないを勝手に仕分けするのです。「これはもう知っている」や「実際はこうだ」というような、知ったかぶりの態度。僕も勉強を始めた頃は「勝手なトレース」が頭の中で自動作用していました。「これは既に何処どこで習った」「実際のクライアントとのやり取りではこちらのほうが効率的だ」「ここに書いてあることは知っている」など。

しかしある時、試験の過去問で出てきたフロイトの構造論と局所論を間違えたことをきっかっけに、「僕は本当のところよく理解していないのではないか」と思うようになりました。正直、恥ずかしい間違いだった。絶対に間違えるはずのない問題を間違えた。ちょっと立ち止まって考えました。そして「なんでも自分が正しいのなら、何もいまさら学ぶ必要なんてないじゃないか」と思うようになった。

つまり、せっかく時間とお金をかけて先生たちが新しい視点でこれまでの知識を教えてくれているのに、「これはもったいない」と思ったのです。おそらく「もうそれは知っている」はリカレント教育での禁句に違いありません。なんでもかんでも「自分が正しい」と思ったら、その時点で耳が閉じる。これは損なのです。

教える側の注意点は、「相手は立派な大人である」ということと、教師もまた「一人の大人」として、生徒から値打ち・レベルを推し量られていることです。幸い、僕が習った先生は僕より年下ですが素晴らしい先生で、結果、授業が終わったいまでも、20代から60代までの生徒20人とグループLINEで繋がっていて、多分、僕だけでなく他のクラスメイトも親近感とリスペクトを持っていると思う。

大人の生徒を想定した授業とはどういうものかというと、やはり「面白い授業ができるかどうか」にかかっていると思う。ここがプロの教師かそうじゃないかの見極めポイント。生徒は基本、日中の仕事を終えて夕方の授業開始に間に合うようにやってくる。または土日を返上して授業に参加する。それなのに授業が面白くないなどというのは、明らかにアウトなのです。必要な知識を教えれば十分という考え方の先生は授業の付加価値を理解していない。これではNHKのニュースを伝えるアナウンサーと同じです。例えば、記憶しづらいことをいかに容易に記憶させられるかを教えてくれたら、そこに楽しさや参加した甲斐を感じるものです。

ここが子供相手の大学と違うところです。あれは面白くなかった。考えてみれば大学の授業だって、僕は履修する時に「かなり期待して」それぞれの科目を選択していたのです。例えば経済学。例えば心理学。例えば美術史。それなのに、面白かったという記憶がまったくない。面白かったのはゼミくらいのものです。そもそも経済学部なのに経済学が面白くないなんて、僕自身が致命的なのではとすら思った。そんな思いを合理化するために、大学の先生は準備不足でも許されてラクな仕事だと思うことにしました。しかし、本当は先生に子供扱いされていたと思います。または軽んじられていた。

大人の学び直し、リカレント教育というのは、要するに立派なサービス業で提供する側の「企業努力」と提供される側の「楽しむ努力」があって初めて成立するもののようです。学校側は生徒のためになる知識を教えるだけでなく、「少しでも生徒を楽しませる」こと。そして生徒側は「自分は知っているようで何も知らない」と、謙虚に楽しむことが大事だと思います。

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