光秀なら仕方ない、やるとしたらアイツだと思っていた。

配信日:2020年2月12日

「麒麟がくる」の視聴率が良いようですね。このドラマで明智光秀のイメージが変わるかもしれない。光秀はどうしても謀反人、悪役イメージが強いけれど、ドラマの中では、実に真面目で将来有望な若者として描かれています。これから彼が何に悩み、どのような動機から天正10年6月2日を迎えるのか。歴史ドラマは、ある程度、史実に沿う一方で史実以上にフィクションとしての描かれ方、独自の解釈に面白さにあります。

織田家のなかで、光秀は相当な外様(とざま)でした。織田家のほかの武将は総じてプロパーなのに、光秀は40歳を過ぎて入社したという、結構不利な中途です。そうであるにもかかわらず、本能寺の時には、いわば副社長にまでなっていました。副社長であり、社長室室長、近衛兵のトップでもあり、現場でいくさの采配を振る営業本部長、複数の領国を任された支社長でもあった。丸投げ、またはむちゃぶりにも見えるけれど、それほど優秀だった。一方、信長の経営者としての価値観が外様の彼を登用したとも思います。信長というのは今でいうダイバシティ経営の見本みたいな人です。

光秀のほかに、秀吉もまた信長によって引き上げられた異質人材でした。ここにもダイバシティ経営が見られる。秀吉は当時まだ無名だった織田家に仕えました。当時の信長は、今川家、武田家という大企業に、これから割って入ろうとする、言ってみれば血気盛んなベンチャー企業の若手社長。秀吉はそんな信長に子供の頃から仕えていたのですから、言ってみれば中学を出てすぐに就職したようなものです。中卒でしたが、仕事がめちゃくちゃ出来るので、やはり武将として国を任されるようになった。

逆に、信長は「旧きもの」「醜きもの」「愚かしきもの」を嫌った。「旧きもの」とは旧態依然とした考えや社会制度、中世的な価値観です。その典型は全国各地にある関所で、そのために経済が停滞していた。中間搾取をするような仕組みや特権的な組合のようなものを嫌った。

「醜きもの」とは何か。例えば、比叡山のような存在。あるいは権力者。弱いものから搾取して生きる者。代々権力をもつ家に生まれたばかりに自分で努力せずとものうのうと生きているもの。そしてそれを恥ずかしいと思わない者。信長自身が尾張の弱小大名の家に生まれ、自らの才覚でのし上がってきたから、尚更そう思ったのではないか。

最後の「愚かしきもの」とは、ずばり足利義昭です。信長のおかげで将軍になったにもかかわらず、つまらないことで政治に口を出し、しまいには「信長を討て」と各地の大名に書状を送る愚か者。浅井に書状を送り、浅井が負ければ武田に書状を、武田も長篠で負けちゃったら今度は毛利と、信長を討つことに執念の「書状」を送り続けた。光秀もそのような書状をもらい本能寺の変に至ったという陰謀説も残っていますね。いずれにしても面白いのは、義昭本人は何もしなかったのですよ。ただ書状を敵の武将に送り続けただけ。最終的に義昭は信長よりも長生きしたのですが、彼が本能寺で自害した時、義昭はどう思っただろう。「勝った」とでも思っただろうか。

光秀が攻めてきて、蘭丸に聞きます。「誰か?」「桔梗、光秀にござる」。そして信長が有名な一言をいいます。「是非におよばず」。これはどういう意味だろう。想像するに「光秀ならば仕方ない。やるとしたらアイツだと思っていた。あんな優秀な男がオレを殺そうというのなら、逃げられるわけがない」。ある意味、信長なりに光秀には一目置いていたのではないか。こんな気持ちが「是非におよばず」なのかなぁ。そして信長は安土にいる女子供は投降するように命じます。「ヤツは女子供を殺すようなことはしない」。いままさに自分を殺そうとしている部下だけれど、この状況下でも部下を理解し信頼していたのだろうなぁ。

その後、光秀は山崎の合戦で負けて、逃走中に小栗栖村で土農に殺害されたというのが、僕が学校で習った歴史ですが、一方で天海僧正になったという説もあります。そして家康に呼ばれ徳川幕府のコンサルタントとして、江戸の町づくりや行政など、家光の代まで活躍したという。本当に光秀が天海になったのかどうかは知りません。しかし実際に比叡山延暦寺や日光東照宮に行くとそれらしい痕跡があります。なにより光秀とは別ブランドとして生きたセカンドキャリアは素晴らしい。いかにも頭の良い光秀らしいと思うのですが、どうでしょうか。

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