NHKオンデマンド、習慣になってきました。
配信日:2020年5月6日
巣ごもり生活が定着してきて、「在宅産業」とでもいうようなオンライン・サービスが伸びているようですね。オンライン・ショッピング、オンライン・ゲーム、オンデマンドでの番組配信など。僕もNHKオンデマンドに入会しました。月額980円で大河ドラマ、「歴史秘話ヒストリア」のような歴史モノ、ドキュメンタリーや「チコちゃんに叱られる」などバラエティを見放題です。それ以外にもクオリティの高い番組がたくさんあり、充実しています。そんなわけで、いまでは一日に数本を見ることが完全に定着しています。笑
オンデマンド(見たい時に見たいものを見られる)ならではの面白い見方もしています。例えば「龍馬伝」。これは坂本龍馬の視点で描かれた幕末維新までの話ですが、オンデマンドならではなのはここからで、同時並行して「西郷どん」も見ます。こちらは西郷隆盛の視点からの同じ時代の話。こうしてクロスしながら見ると同じ「大政奉還」「明治維新」でもそれぞれの主人公の視点、作家のイマジネーションや解釈の違いをみることが出来るのです。その捉え方の違いを見るのが面白い。目の前にあるパラレルワールドというか「世界観は人それぞれ」を感じることが出来ます。おそらく現実で僕たちが日々していることも同じで、あらためて「人の数だけ世界がある」と感じます。今度は「八重の桜」も同じように見ようかな。倒幕側と真逆の視点で描かれる維新はどんな世界だろう。
歴史モノに限らず、映画も以前より見るようになりました。コロナのこともあり、印象に残っている作品がいくつかあります。『感染列島(主演:妻夫木聡、檀れい/2009年)』もその一つです。主人公は新型ウイルスと戦う医者。そこで見られる医療現場の崩壊と感染の拡大はとてもリアルで、10年以上前の映画ですが、ここにはこの数カ月で起きた世界の状況が描かれていました。『Fukushima 50(主演:佐藤浩市、渡辺謙/2020年)』も印象深かったですね。主人公は福島第一原発所長と1号2号の現場マネージャー。2011年3月11日2時46分。津波によって制御不能になった福島第一原発の暴走を、現場で働く従業員が命がけで止める姿が描かれています。コロナの医療現場のように、いつの時代も現場の人たちは命がけで働いていると痛感させられます。最後に主人公が「俺たちは自然をなめていた。コントロールできると考えていた」と言葉を残します。これも今の状況に、何かメッセージをくれているように感じます。
在宅は、歴史や文学に触れる良い機会かもしれませんね。単純に作品を楽しめるのと、同時に「有事の知恵」を学べそうです。テーマは古代から現代まで、地域は全世界、起こる問題は様々。乱世、幕末維新のような時代に人々はどうしたか。3・11の福島で現場の人々はどう考え行動したか。そこに作家のイマジネーション、推理力が見られる。いま直面している問題を解決するヒントが垣間見られることも多いものです。文学、人文学は「平時」にはあまり評価されなかったと思います。大学生は典型で、事実、うちの子供(文学部)も「自分は何のためにこんな学部に入ってしまったのか」と悩んでいます。政治や経済といった「実学」のほうが社会で役に立つと思っているのです。しかし、実学は「これからも世の中の仕組みやルールは変わらない」という「平時」を前提とした性格が強い。いまのような有事で世の中が大きく変わり、これまで有用だった実学があまり役に立たなくなると、今後、人文学が問題解決や戦略性のトレーニングとして見直されるのではないか。そんなふうに思います。