経済活動を再開することと過去に戻ることは違う
配信日:2020年7月8日
熊本県南部での豪雨は今週、九州北部にも広がりました。被災された方々の一刻も早い回復をお祈りします。7月7日の日経新聞によると局地豪雨は2010年から2019年の10年間に327件と、統計を取り始めた1976年から1985年の226件に比べて1.4倍になっているとのこと。地震もそうですが、豪雨も現在の観測精度では発生時間や場所をほとんど特定できず、しかも起きたら短時間で攻めてくるので、人々は対処しきれず被害が拡大しやすいようなのです。思い出せば、2018年の西日本豪雨や去年の台風19号もそうでした。人間の知恵や経験をはるかに凌ぐもので、あらためて自然の脅威を実感します。
東京ではコロナの感染者数が再度増えてきているのも気になります。夜の街のクラスターだとは言うものの、実際に通勤電車や街でのひとの往来を見ていると、ニュースで聞くことをバカ正直に信じるわけにはいかないと感じます。コロナもある意味、自然災害だと思いますが、こちらは豪雨と違ってある程度の対処が出来ます。マスク、手洗い、うがい、リモートワーク、外出自粛、夜に飲み歩かない。治ったひとも多くいますが、やはり病気になって苦しい思いをしたり、入院したり、高い医療費や薬代を支払ったり、病院や他者に迷惑をかけたり、それこそ仕事への支障を考えると警戒したいものです。
対策の中でもリモートワークを推進することは「経済活動を止めない」とも目的を同じくするもので、依然、僕も僕のクライアントさんもそのようにしています。内勤の方ばかりでなく、最近ではR&Dや生産・工場でもリモートで作業ができるようになっているみたいですね。僕は「出勤か在宅か」「どの程度か」は企業がそれぞれ決めればよいと思っていますが、これまでのリモートワークの評価をいろんな人から聞いていると、今後はリモートを軸に経済活動を盛り上げることにもっと取り組んでも良いのではと思います。緊急事態宣言が解除になって、かつてのように満員の通勤電車も復活していますが、必ずしも過去のスタイルに戻ることが「経済活動を止めない」ではないと思います。
デジタル化も経済活動を促進するキーワードですね。「国が一番遅れている」「過去20年間、日本はIT先進国になると掲げてはいたものの何も進んでなかった」という話を各所で見聞きしますが、そんなことはどうでも良いのです。いや、どうでもよくはない。しかし国がどうかよりも「私がどうか」「我が社はどうか」のほうが問題だと言いたいのです。僕自身も大してデジタルな人間ではない。だからたまに子供と話すと衝撃を受けることがあります。去年、高校2年の娘と話した時のこと。「最近、どんな勉強しているの?」と聞くと「2020年のパラリンピックに向けて障害者のひとが安心して街を歩けるアプリを作っている」と聞きました(いまとなっては、パラリンピックは延期になってしまったけれど)。アプリを作っている?高校生が?これが僕(または僕らの世代)の感覚です。聞けば、ハンディキャップのあるひとにとっての「街の危険な場所(段差の違う古びた階段歩道や、車道にむき出しになった狭い歩道など)」をアプリ内で共有して、その場所に近づくとアラートで注意喚起するものだとか。「それを自分で制作しているの?」「そうだよ。それでそれを学園祭で発表して協力してくれる仲間を集める」。いまの子供はすごいな。それに素晴らしいキャリア教育でもある。そんなふうに思いました。時代は毎日、変わっていっていますね。最近ではそのスピードがどんどん速くなっているように思います。