これが天職ですと言えるようになれば・・・。

配信日:2021年5月19日

数年前に仕事を頂いたクライアント事業部長の方から退職の連絡をもらいました。「6月で私は65歳となります。60歳で定年ですが同じ役職でいままで来ていました。65歳が最終の定年となります。」メールには身に余る感謝の言葉も書かれていて、とても恐縮したものです。実はこのメールをもらった日、あることで偶然にもこの方のことを考えていました。その時に連絡があったので、とても驚きました。早速、その偶然も伝えて御礼のメールをしたものです。

定年まで勤め上げるというのは、どんな気分なのだろうか。「やり遂げた」という達成感だろうか。あるいは「今後、何をしようか」という期待と不安の感情だろうか。きっと両方でしょう。今度、聞いてみようと思います。ところで僕が34歳でサラリーマンを辞めた時、当時を振り返ると「労働、キャリア、天職」の繰り返しだったと苦笑したことでした。「3人の石切り工」という話をご存知でしょうか。『大聖堂の建設現場に3人の石切り工がいた。「何をしているのか」と訊くと、一人は「生活のためにお金を稼いでいる」と答えた。二人目は「誰にも負けない最高の石切りの仕事をしている」と答えた。そして三人目は「神の棲家を作っている」と答えた』。ドラッカーはこの話をマネジメントの視点で解説していますが、僕がキャリアコンサルタント的に分析するならば、一人目は生活のために「労働」をしている。たいして面白くもない仕事だけれども、生活を考えると働かなければならないと思っています。二人目は「キャリア」に熱中しています。自分の腕を磨き、石切り工としての実績や名声を求めている。お金や生活は二の次で、自分というものを向上させる面白さに熱中しています。そして三人目は「天職」だと思っています。キャリアを積むことすら二の次で「仕事そのものが対価・楽しみ」になっているように思います。

サラリーマン生活、または仕事人生ではこの3つがぐるぐると回るのではないか。就職したばかりの頃は、やりたくもない仕事だった「労働」も、だんだん面白くなって「キャリア」になることもある。そして「これが天職です」と言えるようになれば最高です。会社の人事部は公平に言ってそういうキャリアパスをみんなに歩んでほしいと願っていると思います。逆に天職だと思って就いた仕事もやっているうちに飽きる・幻滅することもある。そうなると仕事はやはり労働になります。せっかく上司や社内に認められ「天職」といえる仕事をしていても、やがて部下が増えるなど余計な仕事が増え、いつしか苦痛な「労働」になることもあります。こんな時、本当は別の仕事をしたいのだけれど、生活やお金を考えるといまの会社を辞めるわけにもいかない。一方、心機一転、転職して別のキャリアを始めることもあります。永い仕事人生とは、この3つをぐるぐるすることではないでしょうか。そしてこの3つはどれが良いというよりも、「いまどの状態にあるか」に過ぎないのかもしれません。すべては循環のプロセスにあるのではないかな。退職メールをくださった方ならわかるかもしれない。今度、機会があれば訊いてみたいと思います。

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