ネットフリックスと日本のテレビ業界

配信日:2021年8月18日

週末に「アメリカン・ファクトリー」を見ました。ご存知のかたも多いと思いますが、オバマさんと奥さんのミッシェルさんが立ち上げた制作会社、ハイヤーグラウンド・プロダクションのドキュメンタリー映画で、ネットフリックスで配信されています。ラストベルト。元ゼネラルモーターズのオハイオ工場閉鎖に伴い、中国資本の自動車ガラスメーカー、フーヤオ・グラス・アメリカが従業員ごと工場を買い取ります。しかし中国式マネジメントと米国人労働者の価値観の違いから軋轢が高まり、やがて社内に労働組合の結成を求める声が高くなっていきます。中国側は反発。多くの解雇者や犠牲者を出しながら対立・分断の様子が描かれます。

この作品の面白さは作品づくりのための一切のシナリオもセリフも、プロの役者も存在しないことです。すべて生身の話をありのまま構成していて「やらせ」がない面白さがあります。ネットフリックスの強みは視聴者自身に課金するサブスクで賄われていること。広告収入に頼る作品づくりでないから、スポンサーへの忖度もプロダクト・プレイスメントも必要ない。彼らの顔色を窺ってテーマを決める必要すらないから「全裸監督」のような、テレビであればおそらくアウトの作品も作れます。

もちろん広告収入による民放テレビのドラマにも面白いものはあるけれど、発言の制約がないがゆえに面白い作品が作れることも事実でしょう。同時に広告収入でないビジネスモデルが業界に与える影響を考えると、僕にとってはこちらのほうが面白い。まるでアップルが音楽業界や携帯電話業界でやったのと同じことが映像・テレビ業界で起きていくのを予見させます。

ところで、ネットフリックスの2021年4‐6月の世界売上は73億4000万ドル(約8800億円)。あくまで3か月の売上です。しかし例えば、民放で一番大きい日本テレビホールディングスの年間売上3,913億円(21年3月)を圧倒するレベルです。これだけの売上があれば制作費は非常に潤沢。テレビ番組でハリウッド映画を作ることも出来る。しかも広告主を気にせず番組を作れるとしたら、これから一体、どうなっていくだろうか。そして日本のテレビ局は生き残れるだろうか。一体、どんな戦略を考えているのか興味があります。

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