不祥事を起こす企業や国に欠けているもの
配信日:2021年9月1日
みずほフィナンシャルグループが先日、またシステム障害を起こしました、今年に入って6回目。誰が聞いても異常事態です。みずほ銀行がメインバンクの会社は余計に心配になりますね。更に不可解なことに、原因はいまだに特定できないことです。巨額の費用を投じて新システムを開発したのに、どうしたことか。「(新システムが)当初想定した設計となっているか点検を検討する(日経新聞8月31日)」。点検を検討するってどういう意味だろう?点検するかしないか考えるということか。失礼ながらどこか他人ごと(ベンダーの責任)に聞こえます。自分たちの問題という認識が甘いのではないか。
三菱電機の不祥事でも同じような感覚を持ちました。鉄道車両向けの空調装置で35年以上にわたる不正検査の問題が発覚した時、組織的な不正行為と認め社長は引責辞任しました。あの時は企業体質や組織風土の問題が随分と取り上げられましたが、みずほ同様、不適切検査の原因や全体像は判明しないままでした。事件発覚当時、社長会見でこんな言葉がありました。「この不正行為をどこまで把握できていたのかが重要な問題だ(日経新聞7月3日)」。どこまで把握できていたのか?これ、社長自身のことじゃないでしょうか。しかし、どこか「従業員たちの責任、または組織の責任であって私は知らない」というように聞こえたものです。
コロナ第5波は高止まりしていて重傷者が毎日のように過去最高になっています。コロナ対策にしても国がやるべきこと、地方がやるべきことが曖昧なまま、政府は「それは地方の問題」、各都道府県は「それは国で決めてもらわないと」とやりあっている。話の筋はわからないでもないが、結局、生活者や医療現場のひとたちが苦労することになる。それでいて首相は「長いトンネルにようやく出口が見え始めている」と言うのだから、これもどこか他人ごとのように聞こえます。
他人ごと例をいくつも挙げましたが、現状を変えていく時に必要なのはオーナーシップ・マインドだと、あらためて思います。これは僕たちのようなコンサルタントも同じです。クライアントの問題を自分の問題と捉え、自分の知恵と力で解決するのだという主体性を持った時、コンサルタントは力を発揮します。これを「クライアント愛」と言っても良いと思います。不祥事を起こす企業や現在の国・地方も、「自己愛」ばかりで「社会愛」や「顧客愛」が欠けているのではないか。それが最近の日本を生んでいるのではないか。