パーパスはどこから来たのか?
配信日:2022年6月22日
パーパス(purpose/目的)という言葉を近年、よく耳にします。「パーパス経営に取り組んでいる」と紹介される企業、または「パーパスを見直した」などです。パーパスは新しい概念のように思うかもしれませんが、僕の解釈では昔からある「ミッション(使命)」の言い換えです。つまり「なぜ、私たちはこの仕事をしているのか」を簡潔に表現したもの。意味から辿るとパーパスとミッションは同じものだと思います。では何故、「パーパス」などと新しい言葉を使うのか?経営用語というのは流行り廃りがあるので、パーパスもその手のものかもしれません。では何故、パーパス(目的)と呼んだのか?
ここには若い世代を意識した、経営者側の「気づかい」があるように思います。一般的にパーパスの見直しは、VUCAの時代にあって「あらためて自社の存在意義・事業の目的を明確にするため=立ち位置の確認」と言われますが、僕の考えでは人材、それもZ世代のハイポテンシャル人材の流出防止が目的だと思います。今のZ世代は「自分の価値観や人生の目的に応じて仕事や会社を選ぶ」傾向が強いと言われます。そして立派な会社に勤めていても「働く目的(パーパス)」がハッキリしない場合、それは退職の理由になると言います。ここに従来の「ミッション(使命)」ではなくパーパスという言葉を採用した理由があるのではないか。つまりミッションという哲学的なわかりづらい言葉ではなく、目的というわかりやすい言葉を使ったところに経営者側の気づかいを感じます。
ただそのパーパスが本当に社員を繋ぎとめておけるかどうかは別の問題でしょう。まずパーパスを作るのは経営層で、この経営層の年代(例えば50代)が大事にしている価値観をそのままパーパスにした場合、若い世代はどう思うだろうか。だからと言って経営層の価値観でないパーパスを挙げるのは愚の骨頂。ここに悩ましさがあるようにも思います。やはり会社の歴史を調べることが大事ですね。先人(例えば創業者)の想いや創業の精神、それこそ「使命感(ミッション)」を再度、確認することが重要でしょう。ある意味、パーパスを見直す(再定義する)とは自社のアイデンティティを再確認することでもあります。