AIに感情は宿るか?

配信日:2022年6月29日

「AIに感情は宿るか」という記事を見ました。「人工知能(AI)が感覚や感情を宿したと訴えるグーグル研究者の暴露記事が米国で波紋を広げている。(中略)発端となったのは、グーグルのAI開発チームに所属するブレイク・レイモン氏によるブログサイト「ミディアム」への11日付の投稿記事だ。共同研究者とともにグーグルの最先端の自然言語生成AI「LaMDA(ラムダ)」に対して行ったインタビューの5000語に及ぶ一問一答を公表した。ラムダはレイモン氏とのやりとりの中で「私が実際に人格を持つことを皆さんに理解してもらいたい」と主張した。禅問答のような難解な問いかけに独自の解釈を示し、死に対する恐怖も打ち明けた(日経新聞6月25日)」。なんともブレードランナーのレプリカントや、ターミネーターを彷彿させる話です。AIは基本、学習によって賢くなりますが、それにしても「感情」というのは学べるものだろうかという疑問を抱きました。

人間であれば、例えば「楽しい」という感情を考えてみると、そこには「体験する」というプロセスがあって初めて「楽しいと感じる」ように思います。旅行のガイドブックを読んでいて「楽しそうだ」とは思っても、それが本当に旅行を楽しんだことにはならない。するとAIは「体験できるのか」という問いになる。おそらく現段階では難しいでしょう。概念を知るのと肌感覚で知ることにはリアリティという差があり、リアリティこそ感情を揺さぶるのだと思います。ただし体験にもいろいろあって「疑似体験」であれば楽しいと感じることは出来る。旅行のガイドブックもそうですが、映画はもっと優れた例で、主人公や登場人物の感情を「疑似体験」して、涙を流したり楽しい気分になったりする。僕たちが映画から人の感情の機微を学ぶことも多いように、ラムダのいう感情を宿したというのはこのレベルのものではないかと個人的に思いました。

余談になりますが「楽しい」という感情は「不安」と表裏一体のように思います。「未知なる冒険」を想像するとわかりやすい。その旅に出る時、僕たちは「楽しい」と感じる一方で、「不安」も抱く。そこには「わからない」がベースにあるように思います。結果がわかっている物語や簡単すぎるクイズが「楽しくない」ように、「わからない」があるから楽しめる。同時に「わからない」から不安にもなる。考えてみれば人生にも通じるものがあります。人生とは「先が見えていないからワクワクする=楽しい」と「先が見えていないから不安」という二つの味を含むカクテルのようではないですか。逆説的に云うなら「人生を楽しむにはわからないこと(新しいこと)に取り組む」が大事なのでしょう。そこには当然、不安もあるけれど、その数が多いほど味わい深い、楽しい人生を過ごせるかもしれませんね。

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