子供が社会人の第一歩を踏み出します。
配信日:2023年2月22日
この4月、下の子(娘)が働き始めます。彼女は幼稚園の頃から「美容師になりたい」と言っていました。そして高校を卒業して専門学校へ行き、この春、ようやく卒業です。めでたくあるサロンに雇ってもらえて夢をかなえました。僕にとっても感無量。子供の頃から言い続けていた「本当に就きたい職業」を手に入れたことに感激しています。
ただ就職活動は難航したようです。この子も僕と同じで思い入れが強い。おそらく面接でも余計なことを言って落とされ続けたのでしょう。昔からそうでした。小学生の頃、学芸会では毎回、主役に立候補するのにいつも落とされる。それでも毎回、手を上げるのにいつも脇役。僕としては「こんなに頑張っているのに」と忸怩たる思いを抱きつつ「それでも何度でも手を上げる子供」を誇りに思っていました。就職活動も学芸会の時と同じだったような印象です。希望する美容室チェーンの面接はことごとくダメでした。秋になっても就職先が決まらず、落ち込んでいる時に一緒に食事をしました。「私の何がダメなのかな」「何もダメじゃない。そのままでいい」。こんな話をした覚えです。
どうやって励ましたらよいか。面接の内容はわからないけれど、何か、この子が「美容師の夢や情熱」をわかりやすく語ることはできないだろうかと思いました。そしてこんな話をしました。「美容師って、シンデレラに出てくる魔法使いのおばあさんみたいじゃないか?」「?」「みすぼらしい格好をしたシンデレラ。彼女のヘアメイクをしてお化粧もして、キレイなドレスを着せて、かぼちゃを馬車に変えて舞踏会に送り出した。シンデレラの魔法使いはヘアデザイナーでファッションコーディネイターだと思わないか」「うん」「君も美容師になってお客さんをシンデレラに変身させるような仕事ができるといいね。面接でそんな話をしてみたらどうだい?」そういって、僕は彼女に一枚のイラストをLINEで送りました。「この魔法使いこそ、君がなりたい美容師の姿じゃないかな」。
11月になって「美容室から内定貰った」と連絡が来ました。大手チェーンなどではなく、ささやかな、しかし素敵なサロンです。「本当に良かったね。これからも頑張るんだよ」。面接で、彼女が魔法使いのことを話したかどうかはわかりません。僕も聞いていません。でも仕事が忙しくなっても「シンデレラの魔法使いのようになりたい」というビジョンを思い出してくれたら嬉しい。「お客さんに魔法をかけて喜ばれる仕事」。そんなビジョンがあればこれからのキャリアも人生も悠々と進むと思います。