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2018年バックナンバー

ブランディングを始める近道とは?

配信日:2018年08月08日

「ブランド強化せよ」「リブランディング(再構築)せよ」。こう上司(会社)から言われて仕事に取り組むことは多いものです。たいていは売上利益の問題がそこにはあり、それを解決するためにリブランディングをするケースが多い。または会社の創業周年事業として(例えば創立25周年など)、自社ブランドをあらためて見直し、心機一転、ブランド強化に取り組むケースもあります。

なにかお祭り的なブランディング事業ならいざ知らず、事業として取り組む場合、それまでブランドなどというものに取り組んだことのないひとにとっては「一体、どうしたら良いのだろう」です。また上司の説明も分かりにくかったりして、その解釈に困ることもあります。ブランディングに長けたマーケターがしっかりやっている会社なら良いですが、多くはそうばかりでもないでしょう。結局、よくわからないまま勉強しつつやっていくことになります。

私の場合もそうでした。初めて外資系に転職してリブランディングに取り組んだ時は、それまでの味の素ゼネラルフーヅでの経験が活きないことのほうが多く、ほぼ処女飛行のような状態での始まりでした。まず任されたブランドはパッソアというリキュール。いまでこそ有名な売れ筋ブランドになりましたが、私が担当した当時はほぼ鳴かず飛ばず。他の先進諸国では成功しているブランドだったので、日本の状況を海外本社は問題視していました。正直、日本支社のマーケティング・チームに対して明らかに不信感を持っていました。

更に私は転職してきた新人、業界未経験者です。「それまでも業界内や他業界から人材をスカウトしてこのポジションに就けたけど、上手くいかなかった。今度来た新人(私)もそんなヤツかもしれない」というシニカルな視線もありました。しかし、むしろ燃えました。私にはそれまでの前社での経験からくる「当然の自負心」がありました。私はそれまでの経験をベースに売上を伸ばす施策を実施しました。

しかし上手くいかなかったのです。前社が得意とするスーパーマーケットでのブランディングと、リキュールのような酒類業界特有のバーやレストランなど料飲店でのブランディングでは勝手が違い過ぎました。「自分なりに上手くやろうとしたがそれではダメなのだ」。悟った私は、それまでの経験を一度無にして勉強し直すことにしました。

そして新しいことを学び、直ぐに実行することをしました。まずグローバルな市場で成功しているこのブランドが「一体、どんなことをやってきたのか」「成功のレシピは何か」を研究しました。それから、外部の専門コンサルタントを雇いました。そのコンサルタントはサントリーの洋酒事業部でウィスキーのブランド・マネージャーを経験し、当時は独立してウィネットという料飲店に特化した情報提供の会社を経営していました(現フードリンク)。ちなみに、このコンサルの方は、実はかつての上司の大学時代の同期だったのです。その縁を元上司から紹介してもらいました。

私はコンサルタントと定期的に議論をしながら、グローバルで成功したレシピを日本でも実施することにしました。そんなこともコンサルから学びました。「日本ではどういう顧客がターゲットか」「日本独特の慣習のなかで変えなければならないことは何か」「エリアの選定、バー(チャネル)の選定はどうするか」・・・コンサルタントとああでもないこうでもないと話しながら、ブランディング・チームとマーケティング施策を行いました。実施3か月後、結果は上々でした。パッソアはその年、昨年対比67%の売上アップを達成しました。そして売上は更に伸び、私の着任から2年後には250%の売上になりました。海外本社も日本を認めてくれて、私も嬉しかったです。私は早々にブランド・マネージャーからマーケティング・マネージャーに昇格し給料も大いに増えました。

この経験から私が学んだことは「最初から上手くやれるひとはいない」です。もしいたとすれば天才かまぐれか。だからいま、会社(上司)からブランディングをやれと言われている人も、そのつもりでよいのです。そして学ぶには、やはりその道の専門家に聞くのが一番早いと知りました。私はたったひとりのコンサルタントから学びましたが、正直、専門家は何人いても良いと思います。彼らの知恵を借りながら、自分も学び会社にも利益をもたらす。それがビジネス・パーソンとして成長する道だと、いまでも思います。