マスレベルのエンドユーザーとダイレクトに繋がること

配信日:2017年01月01日

最近、いろいろな会社でマーケティングの仕組みを見直そうという話をよくします。その背景は既存の流通チャネルがアマゾンなどの興隆によって機能低下を起こしていること、そして究極的にはウェブ環境のなかで売り手と消費者がダイレクトに繋がれるようになっているからです。

まだまだ過去からの流通チャネルの付き合いは存在するものの、近い将来、流通戦略という言葉(カテゴリー)は今ほど重要じゃなくなるのではないかと思います。それよりも直接マスレベルの消費者とつながりブランディングを行うことで、最終的には消費者がリアルな小売店ではなく自らのオウンド・ショップやアマゾンなどで買い物をすることを狙います。既にそういう会社も存在しています。

そのような会社の仕事で、昨年11月にアマゾンの本部商談(打ち合わせ)をしてきました。ある飲料ブランドです。商談では「仕入れるか仕入れないか」の議論はゼロでした。ロングテールで5000万アイテムを誇る会社ですから仕入れることは問題ないのです。そして仕入れる前提で「いかに消費者に買ってもらいやすくするか」の話ばかりでした。私にとっては理想的な商談です。例えば販促なども、かつての小売企業では「やれスペースに幾らとかチラシ協賛がどう」とか話しますが、そのような余計な費用(出費)もなし。なぜならそれをやると結局、価格に反映されてしまい消費者に買ってもらいにくくなるからです。消費者を中心において小売(アマゾン)と我々(売り手)が一緒になって知恵を出し合う姿は新鮮なものがありました。このようなアマゾンですから、そりゃ既存の小売企業を出し抜くのもの納得できます。

消費者とダイレクトに繋がるというと総論ではみなさんが賛成しますが、各論では既存のチャネルとの付き合いやそれ自体の労力を考えて躊躇しがちです。「将来的にはそうしましょう」となり、現在の業務に戻ってしまいます。しかし、これは私にとっては「チャネル論」というより「マーケティング論」そのものです。本来のマーケティングとは消費者にいかに買ってもらうかを考えるもので、中間にいる流通とは「手段」に過ぎないのです。ですから本来は消費者に製品サービスを届ける手段として存在しているのですが、長年、変わらないマーケティングを行ってきたがゆえに手段が目的化したようです。

マーケティングではいかに多くのエンドユーザーに使ってもらえるかが勝負です。そのためにマーケティング・バジェットをよりエンドユーザー向けに使う。これは必ずしも広告をやれということではないのです。ターゲット消費者の生活導線に合わせてコミュニケーションを行うこと。または直接繋がれる流通チャネルを構築すること。商品もできるだけ買いやすいサイズや価格のものでトライアルをとること。ブランド認知などの意識データも大事ですが本来は「何人が買ったか」「何個、売れたか」などの「人数データ」「個数データ」のほうが実際的です。それが最終的にはブランド認知・理解・好意・ロイヤルティの獲得とリピート・習慣化の促進につながります。更に継続的に消費者の反応(定性的な評価)をデータとして拾い、仮説を立てて更に提案をしていくこと。

これらはごく当たり前の原則論に過ぎません。しかしこのような話をあらためてすることが多くなっているというのは、いまのマーケティングが機能低下を起こしているなかで、もう一度、原理原則に立ち戻る必要があるからだと思います。

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