変化に翻弄されるか、変化をリードするか
配信日:2017年07月04日
先週は、弊社主催でブランド・イノベーションの実例セミナーを実施しました。約12社のマーケターが30名ほど出席してくださいました。当日はeYeka社アジア・パシフィックの代表、アンバ・クシアラ氏と広告代理店ADKの原口征也氏を招いて、講義の他にパネル・ディスカッションを交え、最新のブランド・イノベーションのお話をお伝えしました。
このような最新の、かつグローバルに起きている事例を聞く機会はなかなかなく、参加くださった方々はそれぞれご自身のビジネスの現状と将来についてじっくりと考えることが出来たようです。また私自身もパネリストのお二人から多くの刺激を受け、とても充実したセミナーでした。
ブランドを進化させていく。このような普遍的なテーマは普遍的であるがゆえに大きなテーマであり、同時に日常的な活動に織り込まれるものでもあります。どのようなブランドも進化なくして発展はなく、昨日と同じことの繰り返しでは衰退してもやむを得ないと言うもの。一方で日常の業務のなかでブランドの進化を考える時間が短すぎるという現実もあります。今回のセミナーのなかではグローバル・カンパニーの多くが、どのようにイノベーションを日常的なものとして「仕組み化」しているかの紹介をしました。
そのような会社では二つの「悟り」があるように思います。それは「自身の限界を認めること」。同時に「使える仕組みは積極的に使うこと。使いこなすこと」です。事実、これらの会社が伸びているのは、それまでの自分たちの発想や制限にこだわらず、愚直にかつ率直に欲しいアイデアやコネクションを追い求めることだと言えます。それほどいまの環境がハイ・スピードで高度に複雑化し、ウェブを媒体に変化しているのだと言えます。先日のアマゾンの買収話(ホールフーズの話)は時代の流れを象徴しているようです。
セミナー終了後、私はいくつかのそのような会社をeYeka社のアンバ・クシアラ氏と訪問しました。彼女はグローバル市場でのオープンイノベーションを数多く手掛けており、本国でのグローバル・コントラクトのおかげで、そのような会社と日本でも繋がっています。
一方で、日本でもやはりオープンイノベーションを取り込む機運は盛り上がっていて、そのような会社でそれぞれお話を聞けば聞くほど、これまでのブランディングやマーケティングというものがいかに時代遅れなものかを認識する結果となりました。さらに先週は、キャンペーンエイジア社の編集長から、オープンイノベーションに関する最近のトレンドや企業の意識についてインタビューを受けたのですが、その過程で交わされた会話やトピックスでも、やはり同じ感想を抱きました。それは、考え方は普遍的であっても技術的なものが時代遅れになっているというもの。まるで戦い方のルールが変わっているのに、いままでどおりの武器弾薬で戦おうとしているようなものです。
そのような話をすると新興企業の得意分野と思われるかたも多いと思いますが、イノヴァティブな会社とは必ずしも新興勢力に見られるベンチャーばかりではないのです。少なくとも今回、私が訪問した会社は良く知られている古くからの企業ばかりです。つまり、伝統的な会社にもイノベーションや変化の先取りトレンドは見られる。これはブランディングや経営におけるセンスや発想の問題でもあるのです。時代が変わっていく中で「変化に翻弄されるブランドになるか、変化をリードするブランドになるか」。ここがいま問題なのです。