最近では伝統的で有名な企業ほど変わろうとしている。

配信日:2017年10月14日

イノベーションを起こしていく組織とはどのようなものでしょうか。一言でいえば多様な人材のいる組織、そしてその多様性を容認し新しいアイデアに取り組む勇気を持った組織となるかと思います。ベンチャー企業をイメージするとわかりやすいでしょう。

つまりダイバシティ(多様性)がイノベーションのキーワードです。ダイバシティ経営という言葉もよく聞かれます。これは、例えば小さな子供を抱える女性社員や親の介護が必要な社員、または外国人の従業員など、それぞれのバックグラウンドに合わせて職場での働き方を多様化・最適化させるマネジメントです。しかし私にとってはダイバシティとはイノベーションを起こす苗床そのものと見えます。いろいろなバックグラウンドの人が一つのものをまったく別の視点から見て発想することを可能にするからです。私にとってダイバシティ経営とは「イノベーションを促進する成長戦略そのもの」なのです。

最近では伝統的で有名な企業ほど、どんどん変わろうとしていることも面白い特徴です。安定志向ばかりでは競争に負けるからです(人間も同じ)。先日もパナソニックのイノベーション専門部隊、ゲームチェンジャーカタパルトの方々とお話をする機会があり、さすがだなと思いました。そう、いまでは大企業ほどイノベーションに積極的で、「イノベーション部」なるものをわざわざ作ることも散見されます。その部署が各事業部の担当者とアイディエーションを行ったり、カウンセリングを実施したりします。

「女性の起用」もダイバシティ経営のなかで出てきた言葉かと思います。特に大企業では意識して行われている施策であって、男性ばかりが出世するような職場に女性のエクゼクティブを登用します。まだまだレアなケースだとは思います。一方でそのような女性エクゼクティブも仕事をしているうちに、発想や方法論が男以上に男性的になっていくこともあり、結果的に本質的な意味でどこまでダイバシティなのか疑問を感じることもあります。

企業によっては、例えば「2020年以降に活躍するハイ・ポテンシャル人材とはどのような特徴を持つか」をテーマにしたスタディをすることもあります。特に現在、現場の第一線で働くミレニアル世代のリーダーともうひとつ下の次期リーダー世代(ポスト・ミレニアル世代)を比較しながら、ポスト・ミレニアルのスター人材を検証するのです。このような人材に20代のうちから大きな仕事を割り当て貴重な経営体験をさせ、自己肯定感を高める施策もダイバシティ経営のひとつです。(次世代の経営幹部育成になる)

このような会社がもっと増えるといいなと思います。本当の意味でのダイバシティ経営というのは「緒に就いたばかり」だと思います。いまは手探りでも、小さなチャレンジを試みながら人材活用そのものも変化させる。マーケティングやブランド・マネジメントのイノベーションとともに、組織もイノベーションを生みやすい土壌に変えていく。そのような仕事は明日すぐに完了するようなものはなく、時間がかかります。また「やるかやらないか」の議論は生物の進化論と同じで不毛な問いです。「進化するべきか、しないか」・・・進化しなければ絶滅するのみ。企業であれば「いつ始めるか」または「いまどの程度取り組んでいるか」が正しい問いなのです。

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