企業の経営に喩えると逆張りの戦略となります。

配信日:2017年10月18日

先日、相撲部屋の朝稽古を見学してきました。クライアントさんに誘われたのです。私にとっては初めてのことでしたので、喜んで参加しました。

15人ほどの若い力士が親方や先輩の指導の下、黙々と稽古をしている。そして私たち見学者も静かにただ眺めている・・・。このような空気感の中にいると、いろいろと考えてしまうものです。「なぜこんな厳しい稽古を毎日できるのだろうか」「なぜここまで打ち込めるのだろうか」「そもそもなぜ相撲だったのだろうか」「なぜ・・・」。

練習後、力士のみなさんとちゃんこを食べながら、その理由はいろいろと分かりました。「強くなりたい」というモチベーションが厳然とあること。「まだまだやり切っていない」という枯渇感があること。そして本場所で勝ち有名になって成功したいということ。若い力士が多く、その夢は若者らしいものでした。

もうひとつ考えたことがありました。世の中がどんどんデジタル化しているなかで、自分の肉体一つで稼ぐという「究極のアナログ」の選択というのも戦略的には「あり」だと。もちろん究極のアナログの世界にも競争はあり、それは彼ら自身が一番感じていることではあるのだけれど、世の中と逆方向のことを選択するのは「振り子の法則」に乗っ取ったオプションではあります。

企業の経営に喩えると「逆張りの戦略」となります。もともとベンチャーでIT系の会社であれば、アナログの要素(例えば人的サービスなど)を強化して差別化してもよいし、業界自体が伝統的で昔ながらの営業やマーケティングをやっているのであれば、デジタルの分野に取り組むのがチャンスとなります。

一方、こんな事例もあります。ある飲料ブランドです。このブランドのチャネル戦略は明快で、家庭向けには自社のウェブ・ショップとアマゾンのみで販売しています。アメリカでの小売業がアマゾンによって大打撃を受けているように、日本でも今後、量販店などリアル・チャネルはさらに衰退していくことが予想されるので、デジタルのみでの販売です。一方、ブランド認知を高めトライアルを促す目的から、バーやカフェなど業務用料飲店でも取り扱っています。どれほどアマゾンが市場を席捲しようと料飲店はなくならないからです。こちらはアナログ志向です。そのようなデジタル&アナログも戦略オプションとしてはあります。

いずれにしても、いまは変革の時だと思うので、これまでの仕事のやり方に囚われすぎず、柔軟に発想し多様な意見を聞きながら将来を描く。現在の強みやノウハウが陳腐化してきているのなら「学び直し」をして今後の武器を手に入れる。これは人間も同じだと思います。100歳まで生きる現代、60~65歳でリタイヤしてもまだまだ働くからです。

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