営業力の高め方
配信日:2017年10月31日
営業というのは、おそらく時代がどうなろうと、なくなることはないビジネス活動だと思います。例えば、ウェブ・マーケティングやデジタル・マーケティングの会社ですら、営業マンはちゃんといるし、その活動は極めてセオリー通りです。営業活動の入り口として、特に新規顧客の開拓にはインサイド・セールスを使うかもしれませんが、最終的なクロージングはやはり人的接触によって成されることがほとんどです。よってビジネスマンを一人作るには、これまでもこれからも「まずは営業」をやらせるのがよく、特にマーケターの育成には自分でモノを売ったリアリティが絶対に必要です。
これまでにない新しいタイプ、または説明が難しい専門的な製品やサービスを売るのは本当に大変です。特に革新的な製品(ブランド)とは革新的ゆえに理解されることが少ない。ブランドとは発足当初、理解されない始まり方をするものです。理解されない事態そのものがそのブランドの新しさを示しています。経営者にとってはここが苦しいところ。文字通り生みの苦しみです。「面白い」とは言ってもらえますが「これが必要だ」とはなかなか言ってもらえません。
だからこそ目の前の顧客が「真の顧客」かどうか見極めるのが大事なのです。真の顧客とは「このような製品を待っていた」と言ってくれる人で、そのような人にアプローチできたときにはじめて「これを買ってみよう」「やってみよう」「これを使ってみよう」と言ってもらえるのです。新しいブランドの立ち上げや革新的なアイデアの始め方として、ターゲティングの重要性は強調してもし過ぎることはないでしょう。そのような理解してくれる顧客たちの協力によってブランドは売れ始め、やがて「なんか売れているらしい」という噂が立つようになって初めて一般層にも売れ始めるのです。
コンサルティングの仕事もそうです。無形の専門サービスでしかも高額。このような製品はやはり真の顧客にアプローチすることで仕事が始まります。それを理解できていないと、商談の席でたいていは(真の顧客でない場合)こんなことを言われます。「面白い。大変勉強になりました」。感謝はしてもらえます。しかしそこで終わり。このように言われて仕事になることはありません。一方で決まるときというのはクライアント側から呼ばれていくことが多く、そのような時は「仕事を依頼する前提」での会話になります。その時に大事なのはクロージングです。
コンサルティングの仕事を始めて間もない頃は、どうしても売り込もうとしてしまうし、相手の質問にも何とかうまく答えようと頑張るものですが、そんなときはなかなか仕事に繋がるクロージングにはならない。やがて仕事に慣れてきて「喋ること」が芸になってくると、逆にしゃべることをせずクロージングをすることが出来るようになります。そのコツは相手に喋ってもらうこと。こちらは相手に質問することが中心になります。そうやって相手に答えてもらっているうちに、相手の本当に欲しいものも理解でき、最適な提案をその場でできるようになります。一種の流れを作り出してクロージングする方法です。ただしそこまで行くにはトレーニングや知識以上に「場数」を踏むことが大事です。いろいろやってきて思うのは、営業活動とはやはり場数であること。失敗を重ねながら、そのなかでわずかな成功に快感を味わいながら、自ら成長するのが営業なのだと思います。これはどれだけ世の中がデジタルになろうと、どの業界でもどの会社でも変わらない真理だと思います。