
ブランドの強み・弱みとは?
配信日:2025年3月26日
企業が自社のブランドを語るとき、「これが私たちの強みです」と言う場面に出会います。たとえば「品質に自信があります」「長い歴史があります」「独自の技術があります」など。一見、誇らしく聞こえるこれらの言葉。でも少し立ち止まってみると、「それって、本当に強みと言えるのだろうか?」という疑問が湧いてきます。なぜなら、強みというのは、企業がそう思っているだけでは成立しないからです。それが「誰かにとって意味がある」と感じられて、はじめて価値として成立するのです。
強みの空振りが起きる理由
企業が語る「強み」が、消費者には響かない。そんな場面は意外と多くあります。
たとえば「高機能」だけど、ユーザーはシンプルな操作を求めていた。「老舗」だけど、新しい価値観の若年層には距離感を与えてしまった。「専門的であること」が、逆にわかりにくさとして敬遠された。
これらはすべて、「企業視点で定義された強み」が、顧客の期待とズレていた例です。つまり、強みとは絶対的なものではなく、相対的な価値にすぎないということです。
一方、「弱み」と思っていたものが武器になることもある
逆に、企業が「これはウチの弱点だ」と思っていたものが、顧客にとって魅力になることもあります。たとえば次のようなものです。
「大手ほどの派手さがない」→「誠実で落ち着いている、信頼できる」
「マニアック、尖り過ぎている」→「自分にピッタリなブランドに出会えた」
「価格帯が高め」→「ちゃんとしたものを持っている、賢い選択をした満足感」
こうしたケースでは、企業がネガティブに捉えていた側面が、ある特定の顧客にとってのベネフィットに変換されているのです。
「意味の転換」がブランド戦略の核心
つまり、「強み」とは、企業が決めるものではなく、顧客との関係性の中で現れる「意味の解釈」に他なりません。ここで大事なのは、自社の資源や特徴を、誰のどんな欲望に応える形で位置づけ直せるかでしょう。企業にとっての「事実」を、消費者にとっての「意味」に変える。それがブランド戦略のもっとも本質的な仕事です。
自分本位な「強み」に要注意
ブランドの強みを語るとき、気をつけたいのは「自分たちはこう思っている」という内向きなロジックだけで完結しないことでしょう。どれだけ良いものでも、それを受け取る相手が何を求めているかを無視しては伝わらないのです。
たとえば、どんなに高機能なスマートフォンでも、「とにかく簡単に電話とLINEができればいい」という層には、むしろ高機能が障壁(逆価値)になってしまう。「うちは昔からこれでやってきた」という老舗の誇りが、顧客にとっては「変わらない退屈さ」「古ぼけた味」に映ることもある。
ブランド戦略は「解釈の戦い」
結局のところ、強みも、弱みも、単なる属性にすぎません。本当に大事なのは、それをどう意味づけて、誰に届けるかですね。ブランド戦略とは、言い換えれば「解釈の戦い」です。強みを押し付けるのではなく、弱みを恐れるのでもなく、顧客のリアルな欲望と、自社のそれらをどう交差させるか。そこに、ブランドの価値が生まれてくるのです。