ブランドコンサルティング事例「化粧品ブランドの【シェア挽回】プロジェクト」

2021年のプロジェクトです。化粧品カテゴリーは外国人観光客によるインバウンド需要のおかげで市場が急拡大しました。しかし2020年のパンデミックによってインバウンドは消滅。売上にも大きな影響がありました。クライアントのブランドもその一つでした。しかし私たちが気になったのは本当にインバウンド消滅が売上減少の理由だったのかでした。確かに2020年以降、売上は急速に落ちていましたが、インバウンド需要が高かった頃から売上は減少傾向にあったからです。

図ー2:シェア目標値とシェア3%に留めるメリット

図ー3:コロナ禍より以前から売上は下落傾向にあった

図―3を見ると、2018年10月をピークに売上が大きく落ちているのがわかります。この頃、インバウンドは伸びていたし、2019年はパンデミックの前年で最盛期でした。確かに2020年1月以降、インバウンド消滅も影響していますが、本来の課題は2018年10月頃にありそうだと見当がつきました。調べると、単純に「インバウンド需要を取り込む競争に負けた」のが真の理由でした。図-4は直接競合ブランドとのシェアです。

図-4:競合ターゲットを決める

図ー4:競合ターゲットを決める

ブランドE(クライアント)はもともと15%ほどのシェアを持つ上位ブランドでした。しかし2018年10月からシェアは下がり続け、いまでは下位ブランドのグループに落ちていました。他のブランドのシェアはブランドEを除き、公平に言って伸びていました。明らかにブランドEは2018年10月以降、負けを演じてしまったことがわかります。2018年10月以降、何をしたのか。または何をしなくなったのか。ここは調査というよりヒアリングベースで「捜査」しました。関係者に会ってインタビューを繰り返しました。「当時は何をやっても売れる状況でした。だからとにかく様々なキャンペーン品を継続的に出すことしていました。営業も体力勝負でいままで通りの活動を続けました。広告はやらなくても売れたので出していません」。ここから考えられるのは、キャンペーン品を継続的に出したことが、キャンペーン品を当たり前の存在にし、顧客にとって特別感や目新しさが薄れたということでした。更に競合についてヒアリングしてみると、彼らは広告をしっかりやって認知を急拡大させていました。一方で、私たちは広告を行わず、顧客から忘れられる状況にあったのです。

シェア獲得の目標を考える時、「誰を競合と特定するか」を検討します。仮にブランドAとブランドCの2つを競合とすると、ブランドEは二正面攻撃を行うことになります。これは戦力の分散を招いてしまうので、あまり良い結果にはなりません。どちらを相手にするのが良いか。ポイントになるのは、やはり「勝てる相手かどうか」です。単純な質問を自らにしてみるのです。「ブランドEは果たしてブランドAに勝てるだろうか?」現在、ブランドAのシェアは30%、私たちは7%です。これではあまりにも差がありすぎて戦いを挑むだけ無駄でしょう。ではブランドCはどうか。こちらは10%程度のシェアで勝ち目は十分にあると思われました。ましてや、私たちはかつて15%もシェアを持っていたのだから、ブランドCをターゲットに競争を挑めば勝算は高い。つまり差別化戦略によってシェアを奪うことは可能と思われました。そして、そうした場合、何が起きるか。おそらくブランドCは我々の差別化に追随してくる。同時にブランドAやBに対しても挑み続けるでしょう。つまりブランドCは自ずと二正面攻撃に嵌り、戦力の分散を招くことになります。その結果、弱体化した分だけ、差別化したブランドEのシェアが増えることになるのです。

ブランドコンサルティング事例一覧

資料請求・ご相談はこちら ▶

bmwin

『ブランド戦略をゼロベースで見直す!』
ご相談、お問い合わせはこちらから▶