ジョブ型について。
配信日:2020年7月15日
大手を中心に、いくつかの企業ではジョブ型の検討が始まっているようですね。ジョブ型とは職務を明確にして成果を評価しやすくする制度で、時間ベースで管理がしやすく在宅勤務との相性もいいとされるものです。ポイントになるのは業務明細書(ジョブ・ディスクリプション)をポジションや職務ごとに用意することだと言われています。外資系企業では昔からこれがあって、主に転職市場で人材を求める時に「こんなポジションでこんな仕事をする人材を探している」という説明で使うものです。また日本企業でも成果主義に移行する意図を持って業績評価制度を見直す時は、最初にジョブ・ディスクリプションを作成するのが一般的かと思います。事実、僕のクライアントさんでも去年、業績評価制度の見直しをした際は部署/ポジションごとにこれを作り、そのうえで評価制度を構築しました。
いま、コロナを見据えて企業がジョブ型の検討をするのは良いのですが、僕がよくわからないのはジョブ・ディスクリプションを明確にしても、必ずしも業績評価が上手くできるわけではない現実を外資時代に見てきているので「本当に機能するの?」と思うことです。僕の経験ではジョブ・ディスクリプションではなくジョブ・オブジェクティブ(業務目標)を明確にすることが成果の評価をやりやすくする。ジョブ型、ジョブ型と言っている本当はディスクリプションではなくオブジェクティブのほうではないか?
ディスクリプションを用意していない会社は多いですが、オブジェクティブは業績評価の仕組みとしてコロナ前から持っています。わかりやすいのは売上目標。営業マンはこれによって評価されてきました。一方、企画やR&Dなどスタッフ系は売上のような数値で目標を示すこと自体に限界があり、どうしても定性的な目標、または行動目標が採用されやすく、ここに成果を評価しづらい原因があります。在宅になれば尚更です。だから本当に解決するのはディスクリプションを導入することによるジョブ型移行ではなく、その先にあるオブジェクティブのほうだと思います。ただしこれは永遠の課題であり、ある程度の達観と個々人を立派な大人とみなし信頼したうえで評価する度量が必要と思います。(ジョブ型の外資でも事情は同じです)
ただし、僕はジョブ型に移行するのは個人のキャリアにとって有益だと思っています。例えばブランド・マネージャーという職務はだいたいどの企業でも同じ業務内容になっていて、それゆえに個人が転職をする時に自分の価値を示しやすい。つまりジョブ型に移行することで社会的にポータブル(持ち運び可能)なスキルを明確にすることが出来るのと、そこに給与という形で人材の価値(値段)を示すことが出来るのです。だから転職市場ではポジションと業務内容によってある程度の「値ごろ感」が出来上がっていて、そこに個人の成果やバックグラウンド、人間的魅力という要素が加味されて最終的な給与が決定されるわけです。この点はコロナ下での評価云々を超えて、長い目で日本企業の人事評価や個々人が自分のキャリアパスを主体的に考えるきっかけになると思います。
(参考資料:ブランド・マネージャーの業務明細書/弊社メルマガ2018年7月25日)
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