最近の選挙では僅差が多い
配信日:2020年11月11日
先週はずっと、日経新聞電子版トップページの大統領選得票数を見ていました。バイデン256票とトランプ214票のまましばらく動かず・・・。もうどうでもいいやと思い始めた頃、確か夜中の1時くらいだったと思いますが、バイデンさんの当確が出て「おー」と思いました。その後はみなさんご存知の通り。トランプさんは法廷闘争だの数え直しだの言うけれど、まるで独裁者の断末魔のようです。そもそも不正があったとしても「現在の得票差を上回るほどの不正」ができるとは思えず(精々、数百じゃないのか)、大した違いは出ないでしょう。それに12月に選挙人の投票をやるにしても、共和党員ですら、もう、そんなリーダーにはついていきたくないのではないか。尊敬できないから。
それにしても最近の大きな選挙では「僅差」が多いですね。Brexitの国民投票、大阪都構想、大統領選。70対30とか、60対40くらいの差ならまだしも、51対49だと、どうなのでしょう。単純に51の考えをとって良いのかとしばし立ち止まる。社会の半分のひとたちの意見は、これはこれで立派な民意だと思うし、時にはこちらのほうがマトを得ている可能性も十分にある。民主主義の限界を感じます。それに選挙に大きな影響を与えることが出来ない人たち、例えば格差社会の下流のひとたちの意見はどうなるのだろう。この人たちは選挙や政治にかかわるだけの余力もなければ、そういう教育も受けていない。このひとたちの民意を今の民主主義はちゃんと汲めるのだろうか。
「Aにするか、Bにするか」というゼロサム・ゲーム的な投票方法が問題なのかもしれないと思います。例えば新製品開発の場合、「Aコンセプトにするか、Bコンセプトにするか」は単純な相対評価(いまの選挙の投票がそうです)ではなく、「Aコンセプトはどの程度、良いか(買いたいか)」という絶対評価での聞き方をして、「非常に買いたい」「まあ買いたい」「どちらとも言えない」「あまり買いたくない」「全然、買いたくない」の5段階で評価することが多いのです。そしてA、Bそれぞれの「非常に買いたい」と「まあ買いたい」の合計値(Top 2 boxと言います)を比較してスコアの高いほうを勝者とします。このやり方を選挙に応用するなら、バイデンさんなりトランプさんを有権者が「どの程度、望んでいるか(買いたいか)」を推し量ることができます。これは民意の一つだと思う。ちなみに、どちらの製品コンセプトも「非常に買いたい」が20%を下回る場合は「どちらも大したコンセプトではない」とみなし、再度コンセプトの練り直しをします。選挙なら「他の候補者を当たるべき」という答えです。つまり「どちらがいいか」を強制されることがなくなり「どちらも嫌だ」の民意を表明できるようになります。
さらに「各候補者の政策A,B,C,Dどれを、どの程度評価しているか(買いたいか)」をベースに投票するのも面白い。ここでは競合ブランドに対する競争優位(USP)を評価するイメージ・レーティング調査がぴったりです。選挙に応用するなら、例えば各候補者の各政策に対して「非常に欲しい(5点)」「まあ欲しい(3点)」「欲しくない(0点)」の3段階で点数をつける。そして、すべての政策で点数をつけて合計する。例えばバイデンさんは「合計982点。特に政策Aが高く貢献した」「トランプさんは920点。政策Cが評価されたが、政策Cはバイデンさんのほうが上だった」というように比べます。これなら「政策評価ベースでの相応しい大統領」を選ぶことが出来そうだし、当選後の重点政策にも取り組みやすくなります。これも民意を反映させられる新しい投票かもしれない。