トランプはある意味、正直すぎた。

配信日:2020年12月23日

英国でコロナの変異種が現れたとニュースで知りました。やれやれと思う一方で、「もしこれがクリスマス休暇をおとなしく過ごさせるためのフェイクだったら・・・」とも思います。考えてみれば、人間は立場や「しがらみ」のために、本心から信じていないことでも、そう言わなければならないことがある。政治家やコメンテーターの発言、マスコミの報道、オリンピックに前向きなIOCの発言も、本当はその手のものかもしれない。それにワクチンの承認もそうかもしれない。世の中を安心させる。特に医療現場や経済的に逼迫した人々を安心させるためには、一刻も早く「承認」と「接種開始」が必要だとも思います。しかし本当は使用するには時期尚早で、「これから実戦で副作用の検証をする」のかもしれない。薬品の承認は普通10年もかかることを考えると、そう疑いたくもなります。

いま僕たちが接する情報って、実はそんなものが多いのかもしれない。昔、大本営発表という言葉があったけれど、そんなことすら考えてしまいます。「本心では何を考えているのか」。ファイザーやモデルナは何を考えているブランドだろうか。コロナを終息させたいと本当に考えているだろうか(考えていて欲しいが)。ここはブランディングの今日的なテーマかもしれないと思います。僕は「意味的価値」という言葉を作りました。これまであった機能的価値、情緒的価値に続く「第三の価値」です。「何を考えているブランド」なのか。現状に対してどういう意見や思想を持っているブランドなのか。もしその考えに共感できれば、顧客はファンになります。むしろ、どのブランドも機能的にも情緒的にも差別化が難しいのであれば、これこそが差別化ポイントになる。

トランプ氏がいまだに人気があるのも意味的価値がしっかり伝わったからです。アメリカ・ファースト。最初は良かった。しかし4年経ってみて、いつしか「オレ・ファースト」だと気づいてしまった。今回の敗北はある意味、何を考えているかがはっきりと伝わった結果だと思います。そのためにバイデン氏を担ぎ出したのですが、将来を託すというより、トランプ氏を引きずり下ろすことが目的だったように感じます。彼は「分断をなくす」といっているけれど、本当にそう信じているのか?ここにも、バイデン氏の立場と米国の状況を見れば、そう宣言しなければならないだろうと推測します。しかしとても根深い問題なのも事実。米国には、トランプ氏が出てくる前からそれがあり、ただそれをタブーにして、何事もないように振舞ってきたのではないか。トランプは時代が作り出した人物で、ある意味、その役目を終えたけれど、一方で、彼は正直過ぎた。立場やしがらみを超えて振舞い過ぎた。どちらが良いのだろうか。立場やしがらみを考えて発言するのと、そういうものをある程度、無視して真実を伝えるのと・・・。しかもカオスの時代にリーダーに求められるのはどちらか。

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