新しい資本主義とは?
配信日:2021年10月13日
「新しい資本主義」という言葉が出てきています。この言葉からどんな資本主義なのか、まだ想像の域を出ませんが、おそらく「格差の解消」や「新自由主義からの転換」から、「社会課題に取り組む資本主義」「社会福祉を中心におく資本主義」ではないかと推測しています。非常に結構なことだと思います。格差というとお金の問題ですが、それを各論に落としていくと非正規の問題、シングルマザーの問題、高齢化や介護の問題など、「個人の努力では解決不能な問題」に取り組むことになるからです。まずはこれらの問題の一刻も早い止血が必要。その結果、「新しい資本主義」が姿を現すでしょう。
「新しい」の具体化が大事ですが、そもそも「資本主義」という言葉も曖昧になっています。昔は「共産主義」という対局があったから資本主義もわかりやすかった。しかしいまや世界中のほとんどが資本主義化している以上、一体、資本主義が意味するものは何か。公平に言って「個人の営利目的を追求する経済活動・流儀」くらいの意味でしょうか。しかし、それならば資本主義が発明される前からあった。つまり言葉としての存在意義が問われている。そこで最近では資本主義も各国によってサブカテゴリー化しています。中国の「国家資本主義」や北欧の「福祉資本主義」はその典型でしょう。資本主義のメッカのような米国だって「デジタル資本主義」とでもいうような、偏った資本主義の形態になっている。単純にGAFAのことかもしれませんが。日本も「新しい資本主義」という着想は素晴らしいと思うので、是非、日本的なサブカテゴリーをこしらえて欲しいと思います。
格差の解消が「国が富み、その分配を貧しいひとに十分、行き渡らせること」だとすると、これから日本はどうやって稼ぐのか、分母をどう拡大するのかが問われているとも言えます。「新しい資本主義」は何も格差だけの問題ではなく、国家の経済戦略とも言えます。昔、日本は旧通産省と輸出企業が一体となって海外市場に日本ブランドを売り込んだ。これは驚くほど成果を上げました。日米貿易摩擦などの経済問題も生んだけれど、それほど成功したと言えます。それを真似したのが中国。彼らはまさに国が主導して外資の誘致を行い、安い労働力を強みに「世界の工場」となる一方、いまでは最先端分野でも同じ戦略で突っ走っています。ASEAN諸国、例えばマレーシアのルック・イースト政策も日本モデルを真似たと言われます。真似るは学ぶに通じると言いますが、真似ることの価値が見て取れます。いま成功している資本主義とはどのようなものか。当然、そのような研究もされるでしょう。そこに日本人の強みや特性を活かしたらどのようなカタチになるか。期待しています。
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