事業の「次の成長」にどう備えるか?
配信日:2023年2月15日
事業・ブランドの成長が一旦「踊り場」に行き着くと、次に何をしたらよいか分からなくなることがあります。ちょうど消費財業界で「スモールマス」と呼ばれる新興ブランドが、ここ数年の成功の結果、いま直面しているのがこれではないかと思います。それはスモールマスが出てきた当時の存在意義が薄くなっているように感じるからです。かつては「100人のうちの1人に好かれればよい」という割り切りや、それゆえのこだわりがあった。それが世の中のパラダイムを変える熱量だったと思います。スモールマスも成長すれば普通のマスブランドになるのか、スモール・イズ・ビューティフルを貫くのか。ここが彼らのジレンマでもあり次の踊り場にいく知恵の見せどころでもあるのでしょう。
ただ、これは新興ブランドに限らず、大手マスブランドでもそうかもしれない。「次に何をするか」は経営者やマーケターに突きつけられる普遍的な課題でもあります。そのなかでも優れた会社は「循環を維持する」ことによって一か所に留まることを避け、手探りの中から次の成長を見つけ出しているようです。成功体験に留まらないこと。マンネリにならないこと。流れの中にとどまらず、自ら流れを生み出し成り行きのなかにチャンスを見つけ拾うこと。そのためにも「循環を維持する」がキーワードだと思います。
グーグルなどを見ていると、どのように循環を維持しているかが学べます。①革新的な製品サービスで成功する(第一の踊り場)、②新たに優秀な人材を雇う、③社会や世の中を変えるプロジェクトを立ち上げる、④いくつかのプロジェクトが次のイノベーションや成功を生み出す(第二の踊り場)。以下、同様のサイクルです。つまり②の「新たに優秀な人材を雇う」というのが流れを変えるキードライバーで、要は新しい視点や発想を持つ異能を社内に受け入れ活用することが次の成長へのアプローチです。(彼らのいう「心理的安全性」とは異能な人材を活かすための重要ワードでもある。)
そして③の「社会や世の中を変えるプロジェクト」が大事です。異能な人材にプロジェクト立ち上げを期待する以上に「会社が用意してやる」こと。またせっかく新たな人材を受け入れても会社に同化してしまってはあまり意味がない。彼らがフレッシュなうちに面白いプロジェクトに参画してもらうことが重要でしょう。面白いプロジェクトとは「世の中の既成概念やパラダイムを変えていくプロジェクト」「生活者のライフスタイルを変えてしまうことを目的とするプロジェクト」だと思います。僕のクライアントさんでもそのような取組みを行っています。これは面白いですよ。ワクワクする、またはワクワクさせるプロジェクトですね。それを企画することも大事です。作り手がワクワクしていないのに買い手がワクワクするはずもなく、ここは理屈抜きで大事な点で、僕も意識するところです。これらを1つと言わず、2つ3つと生み出す熱量とスピードがあれば、流れは加速し事業は成長するのです。